Lesson1

様々なタバコの害を表やグラフで示しましたが、喫煙者にしてみれば「先刻承知」かもしれません。その証拠に、喫煙者の7割はタバコと縁を切りたいと思っている、というデータもあるくらいですから。

では、なぜ、タバコはやめられないのか。原因はふたつに大別 されます。「ニコチン依存症」と「習慣依存」です。 ニコチン依存症は体の中にニコチンがあって当たり前という状況ができてしまい、なくなると頭がもうろうととたりイライラしたり、身体的・精神的な変調をきたす病的状態です。

「タバコに含まれるニコチンには麻薬と似た作用があります。大脳を刺激して覚醒させたり、ストレスを解消して快感をもたらしたり?。これが切れたとたん心身に変調をきたす依存症は一種の薬物中毒、立派な病気です」と断言します。 習慣依存は、手持ち無沙汰のとき、口寂しいときなどに、ついタバコに手を伸ばすのが習慣になってしまった状態を指します。 ひとりでこの両方を持っているケースも多く、禁煙を難しくしています。

タバコが原因で死亡する人の数は、ある報告では全国で年間約11万人
といわれています。現在の日本の喫煙人口は
3300万人です。ということは1年間に11万/3300万人
つまり1/300人がタバコが原因で死亡しているわけです。
タバコには継続性がありますから、
これを10年単位で計算すると110万/3300万人
つまり1/30人がタバコの害で亡くなっていることになります。
さらに30年単位で計算すれば330万/3300万人、
つまり1/10がタバコの犠牲者になるわけです。


男・女喫煙者によるガンの死亡率比
(上位10)

男性
順位
女性
咽頭ガン 32.5
1
咽頭ガン 3.29
肺ガン 4.45
2
原発性肝ガン 2.36
原発性肝ガン 3.36
3
肺ガン 2.34
咽頭ガン 3.29
4
膀胱ガン 2.29
口腔ガン 2.85
5
甲状腺ガン 1.86
食道ガン 2.24
6
食道ガン 1.75
全部位のガン 1.65
7
肝臓ガン 1.66
膀胱ガン 1.61
8
子宮頚ガン 1.57
膵臓ガン 1.56
9
膵臓ガン 1.44
肝臓ガン 1.50
10
口腔ガン 1.40
(平山雄:コホート研究、1966〜82、日本)

タバコは肺ガンだけでなく、その他のガンとも深い因果 関係があります。表には喫煙者がかかりやすいガンの男女別 トップ10を挙げましたが、中でも特に目を引くのが男性の咽頭ガン。非喫煙者の実に32.5倍にものぼっているのです。喫煙者しか咽頭ガンにならないといわれるのも頷けます。

タバコといえば肺ガン。1日の喫煙本数が増えるにつれ、肺ガンにかかる危険性は急激に高まっていきます。50本以上吸う人は非喫煙者の、なんと15.3倍も。グラフを見ているだけで恐ろしくなりますね。

タバコ依存度テスト

87年にスウェーデンのファガストローム博士が開発した有名なニコチン依存度評価法。
1〜8の質問に答えて得点を合計すると、あなたの依存度(FTQ指数)が評価できます。

質問
2点
1点
0点
1
起床してから何分後に最初の一服をすいますか?
-
30分以内
30分以降
2
禁煙車など喫煙の禁止されているところで禁煙するのに非常な努力を要しますか?
-
はい
いいえ
3
あなたが1日のなかで一番タバコをおいしいと感じるときはいつですか?
-
朝一番の一服
特に決まっていない
4
1日に吸う本数は何本ですか?
26本以上
25〜16本
15本以下
5
1日のうちどちらかといえば午前中により多く吸いますか?
-
はい
いいえ
6
床に入って安静にしていなければならない病気の時でも、タバコを吸わずにはいられませんか?
-
はい
いいえ
7
いつも吸っているタバコの銘柄の強さはどの程度ですか?
強い
中位
強い
8
深く吸い込む頻度はどのくらいですか?
いつも
時々
めったに

0〜3点=低度依存  楽に禁煙できます
タバコが体に悪いという認識が強く、禁煙したいという動機が明確であれば、かなり楽にやめられる可能性があります。人によっては禁煙ガムの力を借りなくても、従来の方法で十分な場合もあるでしょう。

4〜6点=中度依存  ニコチンガムが最も効く層です
禁煙ガムを使うニコチン置き換え療法が必須で、しかも効果が期待できる層です。並行して行われるカウンセリングでも適切なサポートが得られ、きっと成功できるはずです。もちろん、ある程度の努力は要しますし、喫煙の害に対する十分な認識、禁煙決断の明確な動機は不可欠です。

7〜10点=高依存  相当の努力を要しますが?
たとえ喫煙の害を十分に認識していて、禁煙の動機が明確でも、相当な努力が必要です。ニコチン置き換え療法をもってしても、かなり手ごわいことを覚悟する必要があります。でも、あなたに禁煙の意志がある限り、適切なカウンセリングによるサポートがあれば、きっと成功するはずです。途中で挫折しても、その原因を明らかにできれば、次の成功への大きなステップになるでしょう。ニコチン置き換え療法の理論と限界を十分に認識して下さい。


恐ろしいタバコの“三悪”

タバコの煙には4000種もの化学物質が含まれていますが、その中でもニコチン、タール、一酸化炭素を「三悪」と呼んでいます。ニコチンそのものは劇薬に指定されており、経口致死量 は体重1kgにつき約1mgです。血管を収縮させ、心筋梗塞の危険因子となることはよく知られています。タバコの習慣性はこのニコチンが原因です。 タールには発ガン物質が含まれ、長期の喫煙により肺に蓄積されてガンの発生原因となります。 一酸化炭素は有毒ガスです。血中で酸素の運び役であるヘモグロビンと結びついて体内の慢性的な酸欠状態を作り出します。



ブリンクマン指数が
400を超えたらイエローカード!
1日の喫煙本数×喫煙年数=ブリンクマン指数
1日20本で20年間吸い続けた人なら
20×20=400 イエローカードとなります
ブリンクマン指数をご存知ですか?喫煙量 と喫煙期間を掛けた数値で、具体的には1日の本数×喫煙年数で表されます。1日20本、20年間吸い続けていれば400となります。当然のことながら本数が多く、長期なら高い数値になります。また、本数は少なくても長期にわたったり、短期でも本数が多ければやはり指数は高くなります。 指数が400を超すとイエローカードです。この数字はそれまでに総計14万6000本のタバコを吸ったことになり、仮に1本につきタール1mgを体に取り込んだとすると146gもの量 になります。なんらかの健康障害が現れる可能性は十分です。ましてや1200以上(たとえば40本×30年)となれば、確実にレッドカードです。ガンにならないのが不思議なくらい危険な状態にあると思って下さい。

タバコをやめればベンツが買える!?

ひところ「今日も元気だ、タバコがうまい」というキャッチフレーズがありました。それを見て「今日も元気だ、タバコうまい」ともじった人がいたそうです。「が」を「か」(買)に変えただけでまったく正反対になるところがミソです。しかし、これは事実で、タバコは健康面だけでなく、経済面にもダメージを与えます。

単純な計算をしてみましょう。250円のタバコを1日1箱吸ったとします。1か月7500円、1年では9万円、10年では90万円、30年なら270万円…。2箱、3箱のヘピースモーカーはタバコ代だけでみんな”ベンツ”が買えるのです。

それを考えたら、ニコチンガム3か月5万円は安い!ですよね。

 

他文献より