妊娠初期に喫煙を中止すれば、喫煙による重度の有害作用が回復する可能性
コホート研究で、妊娠15週までに喫煙を中止した妊婦では自然早産率およびsmall-for-gestational-age児出生率は非喫煙者と同様であった
Laurie Barclay
【4月3日】妊娠初期に喫煙を中止すれば、胎児に対する喫煙による重度の有害作用が回復する可能性があるという前向きコホート試験の結果が3月27日付けの『British Medical Journa』のonline firstで報告されている。
「以前から妊娠中の禁煙によって低出生体重児出生率および総早産率が低下することは知られているが、喫煙によって誘発される妊娠合併症を予防するために喫煙をやめなければならない妊娠中の臨界期があるかどうかを検討した試験はほとんどない」とScreening for Pregnancy Endpoints (SCOPE) consortiumの研究者でオークランド大学(ニュージーランド)のLesley M.E. McCowan, MDらは記述している。「驚くべきことに、これまでに妊娠初期の喫煙中止によって自然早産率またはsmall for gestational age児出生率が低下するかどうかを特別に検討した試験はない。これらの重度合併症を減少させるために喫煙を中止する必要がある、妊娠中の臨界期が明らかになれば、このようなデータは妊婦および産科医療提供者にとって公衆衛生上、重要な意味をもつだろう」
本試験の目的は、妊娠初期に喫煙を中止した女性と、妊娠中に喫煙しなかった女性または喫煙を継続した女性の妊娠転帰を比較することであった。
SCOPE試験には、ニュージーランドのオークランドおよびオーストラリアのアデレードの2504例の初産婦が登録され、妊娠15(±1)週時の母親の喫煙状況別に分類された。本試験のプライマリーエンドポイントは、自然早産およびsmall-for-gestational-age児出生(出生時体重が在胎週数の基準の10パーセンタイル未満と定義)であった。人口統計学的因子および臨床的リスク因子について調整したロジスティック回帰により喫煙中止者と非喫煙者および現喫煙者と喫煙中止者の間で各エンドポイント発現のオッズが比較された。
喫煙状況は、被験者の80%(n = 1992)が非喫煙者、10%(n = 261)が喫煙中止者、10%(n = 251)が現喫煙者であった。非喫煙者と喫煙中止者との比較では、自然早産率(4% [n = 88] vs 4% [n = 10]; 調整オッズ比 [OR], 1.03; 95% 信頼区間 [CI], 0.49 ? 2.18; p=0.66)またはsmall-for-gestational-age児出生率(10% [n = 195] vs 10% [n = 27]; OR, 1.06; 95% CI, 0.67 ? 1.68; p=0.08)に差は認められなかった。
現喫煙者では、喫煙中止者と比較して、自然早産率(10% [n = 25] vs 4% [n = 10]; OR, 3.21; 95% CI, 1.42 ? 7.23; p=0.006)およびsmall-for-gestational-age児出生率(17% [n = 42] vs 10% [n = 27]; OR, 1.76; 95% CI, 1.03 ? 3.02; p=0.03)が高かった。
「妊娠15週よりも前に喫煙を中止した女性では、非喫煙者との間に自然早産率およびsmall for gestational age児出生率の差は認められなかったことから、妊娠早期に喫煙を中止すれば、上記の喫煙による重度の有害作用は回復する可能性が示唆される」と本試験の著者らは記述している。「産科医療提供者は、妊娠15週までに禁煙すれば健康に対する大きな利益があることを強調し、妊娠早期の喫煙中止を支援するよう努力すべきである」
本研究の制限としては、喫煙状況が自己申告に基づいたもので、コチニン濃度測定で確認されたものではなかったことがあげられる。
「われわれのデータを、妊娠16週以降も喫煙を続ける場合に、妊婦の禁煙のための努力を支援する取り組みを縮小することを正当化するものと誤解してはならない」と本試験の著者らは結論する。「妊娠32週という後期になって禁煙した妊婦でも妊娠転帰の改善が報告されている。さらに、妊娠中のいかなる時点で禁煙した場合でも産後にも引き続き禁煙を続ければ、新生児と子供の健康にさらに大きな利益がある」
New Zealand SCOPE Studyは、New Enterprise Research Fund、Foundation for Research Science and Technology、 Health Research Council、Evelyn Bond Fund、Auckland District Health Board Charitable Trustの支援を受けた。Australian SCOPE Studyは、Premier's Science and Research Fund、South Australian Governmentの支援を受けた。本研究の著者らの情報公開によれば、関連する金銭的関係はないという。
BMJ. Published online March 27, 2009
(2009年4月15日 記事提供 Medscape )
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