喫煙は膵炎のリスクにつながる
住民対象コホート研究の観察により、喫煙が急性および慢性膵炎のリスクの増大に関係することが示された
Laurie Barclay
【3月30日】喫煙が急性および慢性膵炎のリスクの増大に関係するらしいという住民対象コホート研究の観察結果が、『Archives of Internal Medicine』3月23日号に発表された。
「膵炎のリスク因子としてもっともはっきりしたものは、アルコールと胆石疾患である」と南デンマーク大学(コペンハーゲン)のJanne Schurmann Tolstrup, MSc, PhDらが記している。「喫煙が原因のひとつとして考えられることはめったにないが、その反対のことを示す研究は少数でしかない。我々は、膵炎リスクに対する喫煙の独立効果を評価することにした。」
研究コホートはデンマークの女性9,573例と男性8,332例で、調査開始時に身体所見を採り、生活習慣に関する自己回答式質問票に回答してもらい、平均20.2年間追跡した。記録をデンマーク全国登録に連結することで、急性および慢性膵炎の症例発生を判定した。
追跡期間において、膵炎症例が235例あった。喫煙と急性・慢性膵炎との間に用量反応関係が男女ともに見られた。1日に15から24 gのタバコを喫煙する者の膵炎発現のハザード比(HR)は、女性が2.6(95%信頼区間[CI]は1.5 - 4.7)、男性が2.6(95%CIは1.1 - 6.2)であった。
膵炎リスクの増大にはアルコール摂取量が関連しているが(1日の飲酒量が1杯増えるごとのHRは1.09、95%CIは1.04 - 1.14)、喫煙と膵炎リスクとの繋がりは、アルコールおよび胆石疾患とは独立していた。このコホートでは、膵炎症例のおよそ46%が喫煙で説明できた。
この研究の限界としては、デンマーク退院登録の急性および慢性膵炎の診断の妥当性確認がなされていないこと、急性および慢性膵炎の間での診断分類ミスが存在する可能性があること、膵炎の成因に関する情報不足であることが挙げられる。
「今回のデンマーク人男女からなる住民集団では、喫煙が膵炎リスクの増大に独立して連関していた」と著者らは記している。「喫煙とリスクの連関は、膵炎の主要な成因として見なされているリスク因子であるアルコールおよび胆石疾患とは独立していた。」
この研究は、デンマーク全国保健委員会とデンマーク医学研究評議会の支援を受けている。著者らの開示情報には、関連する金銭的利害関係はない。
Arch Intern Med. 2009;169:603?609
Medscape Medical News 2009. (C) 2009 Medscape
(2009年4月17日 記事提供 Medscape )
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