Lesson119


残留喫煙被害について、サードハンドスモーク



禁煙日記 火が消えた後にも被害 記者が体験

「サードハンドスモーク」という概念を昨年1月、米国の学会誌で小児科医らが提唱した。たばこの火が消えた後に被る三次喫煙被害のことだ。「残留受動喫煙」「残留たばこ成分」などとも呼ばれる。
  喫煙後の肺の中、部屋の壁紙やカーペットなどに有害物質が付着し、会話したり室温が上がったりすると空気中に発散されやすくなるという。屋外や仕切られた喫煙室で喫煙しても、受動喫煙を防げない。
  湯浅保健所の森岡聖次所長によると、06-09年の県内小学校の報告で、「家族の誰かが喫煙する」と答えた児童は65-85%。「ベランダで吸う『ホタル族』も家庭に有害物質をまき散らしてしまう。喫煙者の子どもにはぜんそくなどの疾患が多い。個人の自由と子どもの健康を守る責任のどちらが重要か考えてほしい」
  愛知県豊橋市の豊橋技術科学大の斉戸美弘准教授らは1リットル中のナノ(10億分の1)グラムという微量の物質を正確に測定する機器を開発。昨秋、三次喫煙について論文を発表した。
  実験は車内や布を入れた容器内で、たばこの先端に火をつける。燃焼後に車内や容器内を換気したうえで、ベンゼン、トルエン、アンモニア、ダイオキシンなどたばこの有害物質の空気中濃度を調べた。
  容器内に入れた布は、綿▽麻▽絹▽ポリエステル▽裏地などに用いられるアセテート。アンモニアは綿に最も多く吸着・発散した。ベンゼンやトルエンはアセテートが多く、絹には少なかった。長く換気するほど量は減るが、10分以上発散することが確認された。
  車では換気後、再びドアを閉めた。車内の空気中濃度は徐々に上昇、一定の高さで変化が止まった。内装材に吸着した物質がゆっくり発散するからだ。密閉度の高い車内では外に流出しにくく、除去は難しい。
  JR西日本は昨年6月、紀勢線などの特急列車「くろしお」「オーシャンアロー」を全車禁煙に。それまで喫煙用に使った48車両を買い替えることは難しいため、灰皿を撤去してスチームや無香触媒などで消臭・洗浄した。しかし当初は「たばこ臭い」「気分が悪い」という乗客もいて、空席があれば車両を移ってもらったという。
  斉戸准教授は「健康被害との因果関係ははっきりしないが、たばこのにおいへの不快感はあった。たばこの関連物質は洗剤で洗えば除去できるが、長年使われてきたシートの内部まで完全洗浄することは難しいだろう」と話す。【加藤明子】
道ばたの側溝によく捨てると、それらが雨水に溶け出して、河川、下水に流れ、ダイオキシンなどの有害物質が海水魚、海底に蓄積することも、確認されている。ほぼ、一駅の周辺の道路などでも、毎日数百本からの吸い殻が発生している。年間では恐ろしい量で、たばこ販売の利益からこれらの処理、清掃費、汚染処理費など、また、病気の因果関係から、医療費への充当などを求めるる損害訴訟を起こしてもしかるべきでは?
今の冬の時期、側溝の中には枯れ葉も多く、最近でもマンホール内での小火騒ぎや、寝たばこの不始末、山火事などもある。

(2010年1月16日 記事提供 毎日新聞社 )