元喫煙者の賠償請求棄却 たばこ販売の違法性否定
長年の喫煙でがんなどの健康被害が生じたとして、横浜市金沢区の自営業高橋是良(たかはし・これよし)さん(67)ら元喫煙者3人(うち1人死亡)が、日本たばこ産業(JT)と国に1人1千万円の損害賠償などを求めた訴訟の判決で、横浜地裁は20日、請求を棄却した。
水野邦夫(みずの・くにお)裁判長は判決理由で、JTの責任について「製造・販売を続ければ、不特定多数が病気になり、死亡すると認識していたとまでは言えない」と違法性を否定。国についても「規制権限を行使しなかった違法性はない」と指摘した。
また喫煙をめぐる社会情勢の変化に触れ「たばこの製造・販売については、国民的な議論を待ち、最終的に国会での審議を経て決定されるべきだ」と付け加えた。
訴えによると、3人は20〜37年間喫煙し、高橋さんは肺がんを、ほかの2人は肺気腫を患った。
原告らは、JTは欧米の研究発表などでたばこの有害性や依存性を認識しながら、危険性についてあいまいな表示で販売、国の規制も不十分だったなどと主張。
JTは、たばこは嗜好(しこう)品で、喫煙は自由意思によるものだとして請求棄却を求めていた。
喫煙被害をめぐる同様の訴訟では、2006年1月、最高裁で元喫煙者の請求を棄却する判決が確定した。
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