受動喫煙による健康被害対策に関する共同通信の全国知事アンケートで、静岡、兵庫、和歌山、鳥取、鹿児島などの7知事が受動喫煙防止を目的にした独自の条例制定を検討していることが20日、分かった。このうち京都と奈良は、罰則の必要性も今後検討するとした。罰則付きの法規制を「国がすべきだ」としたのは18知事だった。
2003年施行の健康増進法は受動喫煙防止を努力義務としているが、条例や法律による規制導入の広がる兆しがうかがえる。厚生労働省は2月、公共空間での原則全面禁煙を求め都道府県などに通知した。
アンケートは、罰則規定を盛り込んだ全国初の受動喫煙防止条例が4月に神奈川県で施行されるのを前に3月初めから中旬にかけ実施。知事選(14日投開票)と重なった石川を除く46知事が答えた。
条例制定を検討中とした7人のうち京都は、府の部会が「未成年者や妊婦を受動喫煙から保護」「実効性ある対策を進める条例が必要」とした報告を踏まえたと説明。兵庫は「官公庁以外で取り組みが不十分」とし、10年度に検討委員会を設ける。鳥取も専門家の委員会をつくるという。
静岡は「効果の可能性と営業上の不利益の懸念もある。神奈川県の効果を評価し検討」。「実効性担保のため喫煙者、非喫煙者双方に配慮する」のは鹿児島。和歌山も「先進例を研究し推進を図る」。奈良は「公共施設等の禁煙を推し進め、必要性を検討」としている。具体的な内容はいずれの府県も未定だ。
国が罰則付きの法規制をすべきだとした18人は山形や大阪らで、神奈川や条例検討中の静岡、京都、兵庫、奈良、鳥取も含む。秋田、長野、岐阜ら10人は反対だった。
賛成理由として「(健康増進法の)努力義務では効果が限定的」(茨城)「世界保健機関(WHO)のたばこ規制枠組み条約の批准国として法制度の充実強化を行うべきだ」(静岡)などと実効性を求める声が多かった。
慎重意見では「普及啓発で対策を」(東京)「モラルの成熟が必要」(香川)「喫煙の自由があり、罰則は困難」(広島)などがあった。
※神奈川の受動喫煙防止条例
今年4月に施行。不特定または多数の人が出入りする公共的施設での喫煙を禁止する。学校、病院、官公庁などを「第1種施設」として禁煙を義務付ける。飲食店、宿泊施設、娯楽施設などを「第2種施設」として禁煙か分煙を選択できる。マージャン店やパチンコ店、調理場を除く床面積100平方メートル以下の小規模飲食店、床面積700平方メートル以下の宿泊施設などを「特例第2種施設」として努力義務にとどめ事実上の規制対象外とした。罰則として違反した個人には2千円、施設管理者には2万円の過料を想定している。