「全面禁煙」が好評 条例制定を検討
愛知・幸田町
幸田町が1日に町役場など町管理の公共施設の敷地内全面禁煙を始めてから10日目を迎える。たばこを吸わない職員は「受動喫煙の被害を気にしなくてもいい」と歓迎。愛煙家も「吸わなくても仕事ができることに初めて気付いた」と話す。こうしたことから、町は全面禁煙を条例に盛り込むことを検討している。
町役場では喫煙室をなくし、灰皿と空気清浄機を撤去して鍵付きの倉庫に保管。玄関に「受動喫煙防止のため敷地内での喫煙を禁止します」とのポスターを張った。
喫煙する来庁者や職員から表立った苦情は出ていない。近藤徳光町長は「愛煙家には気の毒だが、健康第一だ。受動喫煙防止を求める厚生労働省健康局長通知が追い風になった。浸透している」と手応えを語る。取り組みについて、他の自治体から問い合わせがきているという。
町の裁量で全面禁煙を決めており、新家道雄総務部長は「現状では、禁煙の根拠となる定めがない。必要であれば施設管理条例に全面禁煙を盛り込むことを検討する」と話す。愛煙家が禁煙できるようサポートしたいといい、「吸えなくて一時的にイライラすることがあっても、禁煙できれば効率的に仕事をできるようになる」と説明する。
愛煙家の男性職員(52)は「つらい。今は自分との戦い。自宅でまとめて吸っている。一日平均で30本吸っていたが、15本に減った。職場で8時間吸わなくても何とかなり、禁煙できるかもしれないと思うようになった」と言う。たばこを吸わない女性職員(39)は「これまで風向きによって喫煙室からたばこの煙が流れてきていた。煙とにおいがない環境はとてもいい」と喜んでいた。
公共施設の全面禁煙は県内初。対象は、町管理の10の公共施設と保育園全8園、小中学校全9校。【中村宰和】