日本人対象の13解析中9解析で糖尿病発症リスクの有意な増加
まず1960年から2007年7月までの疫学研究(横断研究、症例対照研究、コホート研究、介入研究)でPubMedにてタバコ関連用語と糖代謝関連用語を用いて検索。英語論文に限定し、小児・妊娠出産期の女性・1型糖尿病などを対象とした論文は除外した。
その結果、362文献が抽出され、タイトルおよびアブストラクトから2名の研究者が取捨選択を行い、62文献に絞り込まれた。さらに、2007年12月にJAMAに発表された喫煙と糖尿病発症に関するメタアナリシス(JAMA. 2007;298(22):2654-64)を参考に10文献を追加し、計72文献を対象とした。
次に72文献の内容を読み込み、適合率や内容の質を評価。最終的に49文献(男女別に分け71解析)をレビューした。
その中で日本人を対象とした研究は計9文献だった(横断研究2文献、コホート研究7文献)。繁田氏は「この9文献の半数は健診からのデータである」と解説し、日本における健診の意義を指摘。
9文献中、喫煙と糖尿病発症リスクについて、男女全体1解析、男性9解析、女性3解析行われており、そのうち9解析で喫煙が糖尿病発症リスクを有意に高めるという結果だった。繁田氏は「巷で言われるような禁煙により体重が増加し、糖尿病発症につながるというエビデンスはまったく見られなかった」と強調した。
世界全体では71解析中46解析で喫煙が有意に糖代謝を悪化させると報告しており、糖尿病発症リスクで見ても、47解析中32解析で喫煙が糖尿病リスクを有意に高めるという結果だった。
繁田氏はこの系統的レビューを踏まえ、「喫煙によって糖代謝の悪化、ひいては糖尿病発症に至る可能性が高い」と指摘し、「健診関係者はもちろん広く一般人にも禁煙の重要性を伝える必要がある」と述べ、演題を終えた。