なくしたい家庭の受動禁煙
健康増進法の改定以来、公共施設や職場での禁煙・分煙が進んでいますが、さて、あなたの家庭はどうでしょうか? 喫煙者の周りで"吸わされる"ことになる「副流煙」には、発がん物質を含む多くの有毒物質が含まれ、しかもその量は喫煙者本人が吸い込む「主流煙」の何倍にもなります。喫煙と、家族の健康について、もう一度考えてみませんか? |
主流煙の何倍もの発がん物質を含む副流煙。
たばこを吸わない人まで、喫煙者のたばこの煙を吸い込んでしまう受動喫煙。喫煙する本人の健康問題はもちろん、この受動喫煙も、大きな社会問題になっています。
その理由は、点火部から立ち上る「副流煙」に含まれる有害物質は、喫煙者自身がたばこ本体やフィルターを通して吸う「主流煙」に比べて、格段に多いからです。
厚生労働省のデータによると、副流煙に含まれる発がん物質13種類を主流煙と比べた場合、3倍から129倍も多くなっています。その他の有害物質の例をみても、タールが3.4倍、ニコチンが2.8倍など、副流煙の方が多く含まれています。
「ホタル族」がいる家族の体内にも有害物質が。
室内のたばこの煙は、吸わない人の肺がんの原因になることが証明されています。しかし、受動喫煙によって発病する確率が高くなるのは、がんだけではありあません。
インターネットを使った「禁煙マラソン」など、禁煙サポート活動に取り組んでいる奈良女子大学の高橋裕子先生(内科医)は、「受動喫煙で吸うたばこの量が少なくても、心筋こうそくや脳卒中になりやすいことがわかりました。たばこもほんの少しなら、という喫煙者の考えはもう通用しません」と話しています。
高橋先生によると、最近の研究で、ベランダなどでたばこを吸う、いわゆる「ホタル族」の家族がいても、子どもの尿から有毒物質が検出されることがわかりました。喫煙者が換気扇の下でたばこを吸っても、家族の体内の有毒物質は高まります。
最低限でも、家の中では絶対に吸わないを守って。
国は受動喫煙防止策として禁煙や分煙を進めています。しかし、その対象は、学校、病院などの公共施設や職場などで、家庭は含まれていません。それだけに、家庭での受動喫煙対策は、家族の話し合いが大切になります。
「家庭での対策は、たばこを吸わないことが第一です。最近は禁煙方法も進歩しましたので、医師に相談したり、インターネットを使うなど、楽な方法で禁煙に取り組んでみてはどうでしょう。どうしても喫煙する場合は、家の中では絶対吸わないことを厳守していただきたいですね」(高橋先生)。
奈良女子大学同大大学院
基盤生活科学講座 健康構築学教授
同大保健管理センター所長
高橋裕子先生(医学博士)
内科医の立場から禁煙の重要性を説き、各地の禁煙外来科で診療にあたるほか、メールなどITを利用した禁煙支援プログラム「禁煙マラソン」を主宰されています。
http://kinen-marathon.jp/ |
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