職場での受動喫煙防止対策に関し、厚生労働省は10日、都内で初の公聴会を開いた。健康被害を訴える全面禁煙派と、売り上げ減を懸念し規制に慎重な業界団体などとの間で意見が真っ二つに割れた。
ホテルや旅館、旅行業などの労働者で組織する産業別労働組合、サービス連合の大園真弘(おおその・まさひろ)政策局次長は、完全禁煙や分煙の推進に原則賛成としながらも「産業として大きな打撃を受ける」と懸念を表明。完全禁煙や分煙にする場合は業界への助成などの対応が必要と強調し、緩やかな措置の検討を求めた。
受動喫煙に関して年間40〜50人の相談に応じているという岡本光樹(おかもと・こうき)弁護士は、ぜんそくや吐き気、うつ病などを発症した労働者の事例を紹介。分煙したとしても、ドアや空調から煙が漏れるため被害は受けると指摘し「喫煙者は外で吸うべきだ」と全面禁煙を訴えた。
公聴会は約300人が傍聴。業界団体や愛煙家団体などの関係者ら計7人が意見を発表した。
厚労省の有識者検討会は(1)職場を全面禁煙にするか喫煙室の設置による空間分煙が必要(2)接客でたばこの煙にさらされる飲食店や宿泊施設では、従業員のマスク着用や換気などによる有害物質濃度の低減が必要-とする報告をまとめており、労働政策審議会で審議中。