たばこの健康被害を抑えるためメーカーに様々な制限を求める「たばこ規制枠組み条約」が27日発効する。5年以内に広告を原則禁止し、3年以内に健康への影響を紙箱に大きく表示することを義務づける。日本でも公共施設での禁煙が拡大しており、条約発効で喫煙を社会から隔離する動きが一段と強まる。
この条約は世界保健機関(WHO)が2003年に採択。日本は昨年6月に批准、発効時の批准国は57カ国となる。WHOのよると、たばこの死因は2位で年間500万人が死亡している。
政府や業界は条約発効に備え規制強化に動き出した。業界はテレビなどでの広告自主規制や電車など車内広告の中止に加え、今後は屋外や駅での看板も原則禁止する。
7月出荷分からは、全商品に健康への影響の注意書きを義務づけ、名称にマイルドやライトなどが付く場合は「悪影響が小さいことを意味するものではない」などを加える。日本たばこ産業(JT)は95銘柄のうち17銘柄で新基準を導入済み。日本たばこ協会などは未成年の喫煙を助長すると批判のある自販機の規制も強める。
公共スペースでは政府と自治体は03年5月施行の健康増進法や路上禁煙条例で規制を進めている。健康増進法は、学校やホテル、駅、タクシーなどの管理者に「受動喫煙」の防止に努めるよう義務付けた。厚労省によると路上喫煙の防止条例を定めているのは、予定を含め少なくとも28自治体あるという。
たばこ事業が売上高の9割強を占めるJTは「国内たばこ市場は10年は縮小が続く」(本田勝彦社長)と予想。海外でのM&A(企業の合併・買収)や食品・医薬など多角化による事業拡大に加え、全社員の3分の1に相当する約5千8百人の希望退職を実施するなどコスト削減も急ぐ。
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