ニコチン依存症の喫煙者に対する国内唯一の経口禁煙補助薬「チャンピックス」を飲んだ3人が、自動車の運転中に因果関係の否定できない意識障害に陥り、接触事故を起こしたとして、厚生労働省は30日までに、販売する製薬大手ファイザー(東京)に対し、添付文書の重大な副作用に意識障害を追加するよう指示した。
ファイザーは指示に従い、同日までに「自動車の運転等危険を伴う機械の操作に従事させないよう注意すること」などと、医師向けの添付文書を改訂した。
厚労省やファイザーによると、チャンピックスは、脳の神経細胞のニコチン受容体と結合し、たばこを吸いたい気持ちを抑える効果がある。2008年5月から販売され、年間約41万4千人が使用している。昨年10月のたばこ増税で禁煙治療を受ける人が増え、一時、供給不足になった。
厚労省によると、事故を起こした3人は40代女性と60代、70代の男性で、いずれもけがはなかった。このうち60代男性は服用8日目、朝食後に飲んで約20分後、運転中に意識を失い、気付くと道路の側溝に車が突っ込んでいたという。夕食後に服用して約20分後にも、運転中に気を失い、電柱にぶつかりそうになった。意識は自然に回復し、服用を中止した。
ほかにも意識レベルが低下したとの報告が3例あったという。
ファイザーは「症例の集積に基づき重大な副作用に追記した。今後も情報の収集と提供に努める」としている