厚生労働省は12日、受動喫煙による労働者の健康被害を防ぐため、事業所や工場などで、全面禁煙か、一定の基準を満たす喫煙室をつくることによる分煙を事業主に義務付ける労働安全衛生法の改正案を、2011年度第3次補正予算案を審議する臨時国会に提出することを決めた。12年度中にも施行を目指す。
日本は04年に「たばこ規制枠組み条約」を批准、受動喫煙防止対策を進めている。しかし厚労省の07年の調査では、全面禁煙と喫煙室をつくっての分煙のいずれも実施していない事業所は全体の約54%。喫煙対策の改善を職場に望む労働者の割合も90%を超えるなど、対策の強化が求められていた。
改正案では、飲食店や旅館、ホテルなど客が喫煙を望み分煙が難しい場合には、換気設備を導入して、浮遊粉じん濃度を1立方メートル当たり0・15ミリグラム以下にするなど、事業主が労働者の受動喫煙を減らすことを義務付ける。
国の事業者への支援策として、粉じん濃度の測定器を無償貸与したり、喫煙室を設置した場合は補助金を出すことも盛り込む。
実施状況は各地の労働基準監督署が指導、監督する。違反した場合の罰則は当面見送り、実施状況を見ながらさらに検討していくとした。
政府は昨年6月、新成長戦略の一環として、20年までに受動喫煙の職場をゼロにする目標を掲げている。