Lesson259

社会がタバコ産業の衰退を望んでいるなら、
転業支援をたばこ増税から出すべきでは?



 <たばこ税>増税、泣き笑い 
今月で1年 国、予想を上回る増収/農家・小売店は打撃

 ◇国、予想を上回る5.5%増収/農家・小売店、本数減で打撃

 昨年10月、大幅増税された「たばこ税」の国税の税収(昨年11月〜8月)が、前年同期比5・5%増と財務省の予想を上回る増収となった一方で、たばこの販売本数は同23・5%減と大幅に落ち込んでいる。本数の落ち込みを増税がカバーした格好で、健康増進を目指す厚生労働省は「多少税率が上がっても、税収は確保できた」として、12年度の税制改正要望にさらなる増税を盛り込んだ。一方で、本数減によって経営基盤を失う「町のたばこ屋さん」は急速な勢いで減りつつある。【新宮達、鈴木一也】

 昨年の値上げは、たばこ1本当たり3・5円の増税に生産農家への支援分を加え、同5・5〜7円程度。「マイルドセブン」1箱(20本)が300円から410円に値上がりした。その後、たばこ税の国税収入は今年8月までの10カ月間で前年同期比5・5%増の7717億円となった。1本当たり1円上がった06年の値上げの際、1年間の税収(06年8月〜07年5月)が1・7%減ったのとは対照的だ。財務省も値上げ前の昨年9月、「値上げで消費が減り、税収は減る」と予想していた。

 本数減の影響を直接受けるのは、タバコ生産農家や小売店だ。全国たばこ耕作組合中央会によると、全国の生産農家(11年)は、1万801戸で、02年からほぼ半減した。財務省によると、今年3月末の全国のたばこ店(個人経営のコンビニエンスストアを含む)は前年同期比3・4%減の27万9577店となった。大阪市浪速区でたばこ店を営む大西きみ子さん(59)は「浪速区の同業者がこの1年で半減した」とこぼす。「わかば」や「エコー」など1箱200円台の安いたばこを買う人の割合が増えたという。

 もちろん、健康のため、たばこのさらなる値上げを求める声は強い。NPO法人の日本禁煙学会は9月、1箱1000円を求める要望書を厚労省に提出した。作田学理事長は「たばこが原因で毎年約20万人が死亡しており、1箱400円は安すぎる」と訴える。

 また、東日本大震災の復興財源として、政府はたばこ税を12年10月から5年間、国・地方で1本当たり1円ずつ計2円の増税(国税分のみ10年間)をする方針だ。


2011年10月10日 ソース:毎日新聞