医療機関の全面禁煙、診療報酬で後押し
生活習慣病など入院料加算や医学管理の要件に
2012年1月30日 橋本佳子(m3.com編集長)
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1月30日の中央社会保険医療協議会総会(会長:森田朗・東京大学大学院法学政治学研究科教授)で、生活習慣病、小児、呼吸器疾患患者等に対する入院基本料等の加算や、医学管理を算定する際の要件に、「原則屋内全面禁煙」を追加することが決定した(資料は、
厚労省のホームページに掲載)。
対象となるのは、総合入院体制加算、呼吸ケアチーム加算、生活習慣病管理料など、22の点数が候補例として挙がっており、それぞれの施設基準に加え、「当該医療機関の屋内が禁煙であること」が要件に加わる。ただし、一定の経過期間が設けられる上、緩和ケア病棟入院料など一部の点数では、「分煙」も認められる。
そのほか、生活習慣病対策では、糖尿病患者に対して、チームによる透析予防の外来指導を評価する、「糖尿病透析予防指導管理料」が新設される。京都府医師会副会長の安達秀樹氏は、対象患者のHbA1cの基準が定められる点について、医学的な知見を踏まえ設定する必要性を指摘、さらに「包括点数と併算定ができるのか」と質問。厚労省保険局医療課長の鈴木康裕氏は、「軽症患者まで広げると算定対象が多くなる一方、重症化を防止することも必要」とした上で、対象患者は医学的に設定するとし、包括点数と併算定も可能だとした。また全国健康保険協会理事長の小林剛氏は、2012年度診療報酬改定の答申の付帯意見として、こうした予防医療に関する実態調査を今後、実施することを加えるべきだとした。
生活習慣病対策関連の主な改定項目は以下の通り。
◆糖尿病透析予防指導の評価
・糖尿病患者に対し、外来で、「透析予防診療チーム」で行う透析予防のための指導を評価する、「糖尿病透析予防指導管理料」を新設。
・HbA1cが一定値以上の患者に対し、内服薬あるいはインスリン製剤使用の外来患者が対象。
・糖尿病の経験を有する専任の医師、看護師または薬剤師、管理栄養士からチームを構成。
◆たばこ対策への評価
・生活習慣病、小児、呼吸器疾患患者等に対する入院基本料等加算、医学管理等の算定要件に、「原則屋内全面禁煙」を追加。
・対象点数例:緩和ケア病棟総合入院体制加算、乳幼児加算・幼児加算、超重症児(者)入院診療加算・準超重症児(者)入院診療加算、小児療養環境特別加算、がん診療連携拠点病院加算、ハイリスク妊娠管理加算、ハイリスク分娩管理加算、呼吸ケアチーム加算、悪性腫瘍特異物質治療管理料、小児特定疾患カウンセリング科、小児科療養指導料、外来栄養食事指導料、入院栄養食事指導料、集団栄養食事指導料、喘息治療管理料、小児悪性腫瘍患者指導管理料、糖尿病合併症管理料、乳幼児育児栄養指導料、生活習慣病管理料、ハイリスク妊産婦共同管理料、がん治療連携計画策定料、がん治療連携指導料。
・緩和ケア病棟入院料、精神病棟入院基本料、特定機能病院入院基本料(精神病棟)、精神科救急入院料、精神急性期治療病棟入院料、精神科救急・合併症入院料、精神療養病棟入院料では、分煙でも差し支えない。
・経過措置として、一定期間は従前通りの算定が可能。