厚労1、防衛101 喫煙所数、各省まちまち 世界禁煙デー
「世界禁煙デー」の31日、厚生労働省は東京・霞が関の庁舎にある喫煙所2カ所のうち1カ所を閉鎖した。がんや生活習慣病の予防を推進する立場から「受動喫煙防止の積極姿勢を示す」(同省幹部)との狙いだが、他の省では喫煙所が最も多いところで101カ所あるところもあり、対応がまちまちな実情が浮かび上がった。
「5月31日から廃止」。厚労省と環境省が入居する中央合同庁舎5号館(26階建て)の正面玄関脇にある屋外の喫煙所に今月22日、張り紙が掲示された。
5号館にはかつて多くの喫煙所があったが、厚労省は2006年に庁舎内を全面禁煙とし、1階と2階の屋外2カ所だけにした。今後は2階の講堂脇の屋外1カ所となる。「どんどん吸いづらくなるね」。喫煙する職員からはこんなぼやきも漏れる。
他の省にも、省内の喫煙所の数を取材した。
最も多いのは防衛省の101カ所。東京・市谷の敷地は東京ドーム約5個分に相当する約24万平方メートル。主要な庁舎だけでも7棟あり、自衛官も含め約1万人が勤務していることなどを同省は理由に挙げた。
次いで多いのは文部科学省の21、総務省と国土交通省が各20、財務省19と続く。外務省は5、農林水産省と経済産業省は各3、法務省は2。
経産省は、かつては庁舎内に20カ所以上あったが、空気清浄器の節電やスペースの有効活用などの目的から廃止を進め、現在は屋外だけという。
人事院は03年、「国の庁舎内では、可能な範囲で全面禁煙の方向で改善に努める」との指針を示した。一方「少なくとも空間分煙は確保する」との記述もあり、多くの省は完全個室型の喫煙所を庁舎内に置いて対応している。
大半の省は取材に「今後の具体的な廃止予定はない」と回答。厚労省によると、健康増進法で受動喫煙防止は努力規定のため、庁舎の全面禁煙などは他省庁や自治体に「お願い」するしかないのが実情という。
厚労省の担当者は「自治体からは『まず国からやってほしい』と言われる。国が足並みをそろえられればいいのだが、現状ではなかなか難しい」と話している。
※世界禁煙デー
禁煙推進の日として世界保健機関(WHO)が1989年以降、毎年5月31日と定めている。たばこを吸わないことが通常の社会習慣となるよう各国が普及啓発するとWHOは決議。旧厚生省(現厚生労働省)は92年、5月31日〜6月6日の1週間を「禁煙週間」とし、以降毎年、公共の場での全面禁煙や受動喫煙防止などの取り組みを呼び掛けている。
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