Lesson32 


めまいは頭痛とならんで日常生活でよく経験する症状だ。目がくらんだり、ぐるぐる回った感じがしても、しばらく横になると改善することが多い。ただ、脳卒中などの深刻な病気が潜んでいることもあり、「たかがめまい」と軽く考えるのは避けたい。

平衡感覚を保つことができるのは耳にある三半規管や耳石器のおかげ。何らかの影響を受け、視覚や筋肉などとのバランスが崩れるとめまいを感じる。「めまいの約7割は耳のなかに原因がある」と神尾記念病院(東京・千代田)の神尾友和院長は話す。大抵は3−4時間横になれば症状は治まる。

めまいと同時に耳鳴りや難聴が襲ってきたら、メニエール病の疑いが強い。めまいが消えるが、何度も繰り返し起こるのが特徴。患者は働き盛りの世代に多く、ストレスや睡眠不足などが影響している。薬物治療が中心だが、リラックスするよう勤めると改善しやすい。

めまいは脳卒中や脳梗塞(こうそく)でも起こることがある。手足のしびれや感覚まひ、言葉のもつれなどを伴ったら要注意。「命にかかわることもある。迷わず救急車を呼んでほしい」と神尾院長は忠告する。

めまいを起こす主な病気

▽耳が原因
・メニエール病
・良性発作性頭位めまい症
・聴神経腫瘍(しゅよう)
・慢性中耳炎
・突発性難聴

▽脳が原因
・脳卒中
・脳梗塞

▽その他
・首が緊張
・立ちくらみ
・眼鏡があわない

 

日本経済新聞 2006.3.19