Lesson357

ニコチン依存強いほど多い 禁煙後の体重増加 「医療新世紀」



禁煙に伴う体重の増加は、ニコチン依存の度合いが強い人ほど多いと、国立病院機構京都医療センターの長谷川浩二(はせがわ・こうじ)部長らが米科学誌プロスワンに報告した。禁煙外来でたばこをやめた186人を分析した。

体重増加は、それが嫌で禁煙できない人も多いほど悩ましい問題。今回の結果は、太りやすい人を事前に把握し適切な支援をすることで、禁煙の成功率を高めるのに活用できそうだ。

研究は同センターで2007〜11年に禁煙に成功した男性132人、女性54人が対象(平均59歳)。初診時と、健康保険による治療が終了する3カ月後の体重の変化を体格指数(BMI)で表し、ニコチン依存度との関係を見た。

3カ月後に被験者のBMIが平均0・4(体重は同1・1キロ)増加したが、全体に依存度が強い人ほど禁煙後のBMI増加率が大きかった。大半がニコチンパッチか、ニコチンと似た作用を示す飲み薬のいずれかを使ったが、薬の種類による差はなかった。

ニコチン依存度の判定には、国際的に広く用いられるFTND指数を使った。日本の保険診療では別のテストを使うが、いずれもたばこを我慢するつらさなどを基に評価するもので、結果はおおむね一致するという。

禁煙するとなぜ体重が増えるのかについては、完全には解明されていないが、ニコチンの離脱症状であるとの説が有力で、禁煙後時間をかけて徐々に元に戻るという。

長谷川部長は「ニコチンパッチなどを使った禁煙は、何も使わない場合に比べ体重増加は少ないので、依存度が強い人は薬を上手に使うのが有効だ」と話している。


2013年10月1日 提供:共同通信社