Lesson362

ニコチン依存症の治療、若年者も対象に「喫煙は嗜好」、
診療報酬での対応に疑義も




中央社会保険医療協議会

 中央社会保険医療協議会総会(会長:森田朗・学習院大学法学部教授)が11月15日開催され、ニコチン依存症に関する管理料を若年層までに広げることの是非を議論した(資料は、厚生労働省のホームページに掲載)。厚労省は、現状では若年層ではニコチン依存症管理料を算定しにくいため、新たな算定要件が必要と提案。委員からは、喫煙が嗜好品であるとして、診療報酬での対応に難色を示す意見もあった。

 ニコチン依存症患者の治療を目的とした「ニコチン依存症管理料」の算定要件は、1日の喫煙本数に喫煙年数を乗じて得た数「ブリンクマン指数(BI)」が200以上であることとされている。若年層は、治療の対象に成り得る喫煙者でも喫煙年数が短いためBIが200以上に達しない場合がある。

 ニコチン依存症の治療途中で入院した場合、入院中でも禁煙補助剤を処方できるが、入院後に治療を開始した場合は、入院中の処方が認められていない。しかし、入院中に禁煙指導を行うことで禁煙率が増加することから、入院後に治療を開始した場合でも禁煙補助剤の処方を認めることを併せて提案した。

 健康保険組合連合会専務理事の白川修二氏は、年代別の禁煙治療の成功率を示す資料の提出を要求。経団連社会保障委員会医療改革部会部会長代理の石山惠司氏は、「喫煙は嗜好の問題で自己責任ではないか」と診療報酬で対応することに疑問を呈した。厚労省保険局医療課長の宇都宮啓氏は、「ニコチン依存症は病気」と反論したが、石山氏は「喫煙は医学の問題ではない。若年層には教育の方が必要なので、そちらに軸足を」と譲らなかった。


2013年11月15日 提供:島田 昇氏(m3.com編集部)