Lesson4

JT調査  「嫌煙」「禁煙」広がりを反映

成人のうちたばこを吸う人の割合が、統計を取り始めた1965年以来、過去最低の35.1%になったことが28日、日本たばこ産業(JT)の調査で分かった。嫌煙運動の広がりや、嫌煙する人の増加が背景にあるようだ。

調査は今年5月、全国の成人男女計16,000人を対象に実施、11,200人から有効回答を得た。男女合わせた喫煙率は35.1%で、前年より1.2ポイント下がった。男性も過去最低の57.5%だった。女性は前年より1ポイント低い14.2%だったが、過去最低の86年よりは1.6ポイント高かった。

喫煙人口は推計で男性が28万人減って2,708万人、女性も41万人減の714万人だった。

日本経済新聞 1996/10/29

米カリフォルニア州

間接喫煙、従業員守る

米カリフォルニア州で98年1月1日から新禁煙法が施行され、バーや居酒屋、カジノ、プライベートクラブ内での喫煙が禁止される。公共の場所での喫煙を事実上不可能にする米国で最も厳しい法律だ。一部の飲食業者からは「商売があがったり」と激しい反発も出ている。

新法はバー従業員らを間接喫煙から守るのが目的。同州にある約3万6千軒のバーなどが全面禁煙となり、喫煙した場合には最高500ドルの罰金が科せられる可能性がある。

喫煙が可能な場所は自宅や屋外となるが、屋外であっても建築物から約6メートル以内では禁煙とする自治体があり、愛煙家の居場所はますます狭まる。同州では95年1月からオフィスやレストランが禁煙となったが、これまでバーなどは除外されていた。

新法施行によってバーから客足が遠のくとの見方があり、ホテル・レストラン従業員組合サンディエゴ支部は12月29日、州議会議員に新法を廃止するように要求。

「5%でも売上が落ちたら、従業員解雇もやむを得ない」(ジェフ・イーチェル同支部財務部長)としている。

カジノ経営者らは近く訴訟を起こす予定だ。     (ロサンゼルス=滝山晋)

日本経済新聞 1997/12/31


家族だんらん時多発

昨年度、厚生省調べ

96年度に発生した子供の誤飲事故は調査対象の8病院だけで計823件に上り、のみ込んだ品目別で最も多いのは「たばこ」の395件(全体の48.0%)だったことが30日、厚生省の家庭用品をめぐる健康被害報告で分かった。ふろの洗剤などで腹痛や吐き気を引き起こした吸入事故は374件、台所用洗剤や装飾品による湿疹(しっしん)などの皮膚障害は274件だった。誤飲事故などで入院したケースも22件あった。
子供の誤飲事故は家庭内で起こることが多く、同省では「保護者は一層の注意が必要だ。たばこや吸い殻を飲み込んだ子供に水や牛乳を飲ませるなど不適切な処置も目立つ」と指摘している。

誤飲事故は名古屋第一赤十字病院など8病院、皮膚障害は信州大病院など8病院、吸入事故は日本中毒情報センターの協力で報告をまとめた。

厚生省によると、誤飲事故でたばこに次ぐのは医薬品・医薬部外品120件(14.6%)、おもちゃ38件(4.6%)、電池32件(3.9%)。

品目別子供の誤飲事故件数
(1996年度)

事故が最も多く発生する時間帯は午後6時から同9時までで全体の約3分の1を占める。同省は「家族だんらんの時間で保護者が目を離したすきに子供が近くにある物をのみ込んでしまうケースが多い」と分析している。

たばこの誤飲を年齢別に見ると、ハイハイやつかまり立ちできる6−11カ月の乳児が多く、300件。

次いで12−17カ月の幼児が多く、6−17カ月の乳幼児で94%を占める。たばこの吸い殻が入った缶ジュースを飲んだ事例もあった。

さらに厚生省は1.子供がゴキブリ駆除用のホウ酸団子を食べ物と間違えて食べた2.かみ切りにくい、こんにゃくゼリーがのどに詰まった3.ボタン型電池が腸の内壁に張り付き穴が開いた――などのケースを挙げ、保護者への注意を呼び掛けている。

■応急措置  たばこ、まず吐かせる

誤飲事故が起こった場合、医療機関で手当てを受けるまでに家庭で行う応急措置として厚生省は30日、のみ込んだ品目別の応急措置といけない措置をまとめた。(○は行ってよい応急措置、×は行ってはいけない応急措置)

【たばこの葉や吸い殻】
○=吐かせる  ×=水や牛乳を飲ませる(水や牛乳を飲ませるとたばこからニコチンが溶け出し体内へ吸収されるのを促進する恐れがある。数時間は飲食を避ける)

【強酸性や強アルカリ性の洗浄剤や漂白剤】

○=牛乳や水を飲ませる  ×=吐かせる(誤飲した際、のどや食道にやけどを起こしており、吐かせると再びやけどし、症状が悪化する恐れがある。少しでも口にしたら、牛乳を飲ませて医療機関で手当てを受ける)

【防虫剤】
○=水を飲ませる、吐かせる  ×=牛乳を飲ませる(防虫剤のような脂溶性物質は牛乳の脂肪分に溶けて吸収を促進する恐れがある)

【ホウ酸団子
○=吐かせる、水や牛乳を飲ませる

【灯油やベンジンなどの石油製品】
○=何も飲ませず、吐かせずに医師の手当てを受ける(石油製品のような揮発性の高い物質は、吐かせると気管に入りやすく、少量でも化学性肺炎を起こす。牛乳や水を飲ませると吐き気を誘う可能性がある)


日本経済新聞 1996/10/29


間接喫煙抑制へ  対応遅れる家庭

公共施設や職場で非喫煙者がたばこの煙に極力さらされないようにする「分煙」が広がっている。国内の航空路線が禁煙になったり、駅や職場では喫煙場所を限定するなど、分煙は身近なところにも浸透し始めている。健康に良くないとされるたばこ。他人のたばこの煙による間接喫煙が健康に与える影響も次第に明らかになっている。喫煙者と非喫煙者の双方の快適な環境を求め、分煙によるすみ分けはさらに進みそうだ。

専門家は2分

「他人に被害を及ぼす可能性がある限り規制すべきだ」「化学的に健康影響は証明されておらず規制する根拠はない」――。米国名ででは半ばけりがついている間接喫煙の健康影響の論争が国内ではまだ続いている。厚生省が2月に発足させた「21世紀のたばこ対策検討会」では2回開かれた会合で、専門家の意見は2分したままだ。

同省は昨年度の厚生白書で初めて間接喫煙による健康被害に言及した。米環境保護局(EPA)の報告書を引用し「環境中のたばこの煙は発がん性が明らかであり、疫学的な推計によると米国の非喫煙者に年間3千人の肺がん死亡をもたらしている」とした。

外国の報告書を引用せざるを得なかったのは国内で間接喫煙の健康調査がわずかしかなく、調査も十分でないからだ。厚生省はようやく今年度から全国1万人を対象に間接喫煙による健康調査に乗り出すが、その結果がでるまで国内の議論は海外データをもとにするしかない。

間接喫煙の健康被害を抑えるため禁煙区域を広げ、完全な分煙を進めている米国に対し、日本の分煙はまだ緒についたばかり。各省庁や自治体、企業が独自の分煙指針を作成し、具体化し始めた段階だ。ただ、分煙も対策が不十分だと効果は半減しかねない。

労働科学研究所の調査によれば、同一空間で区画を仕切るだけの禁煙室はたばこの煙が拡散するうえ、下手に空調を運転すると煙の濃度が全く同じになってしまう。職場でしばしば実施されている禁煙タイムは喫煙者が禁煙タイム前後に集中的に喫煙するので煙の濃度が高まり、逆効果になるという結果が出ている。

発育不良にも
間接喫煙の健康影響については様々な指摘がある。EPAによると、たばこの煙には4千種類以上の化学物質が含まれる。そのうち、くゆらしたたばこから出る副流煙には約40種類の発がん物質があり、間接喫煙により1.胎児の発育2.悪性腫瘍(しゅよう)3.呼吸器4.循環器――などで健康被害の恐れがあるとしている。

発育の影響として新生児の低体重化という調査結果もある。大阪府吹田保健所の島本太香子医師が約1千人の妊婦を調査したところ、間接喫煙の状況にあった妊婦は最大で出世児の体重が200グラムも低かった。新生児の毛髪から多量のニコチンも検出した。

我慢必要な時
分煙が職場で進んでも家庭の中となると見落とされがちだ。だが、家屋の密閉性がかつてに比べると格段に上がっているので、間接喫煙の影響は無視できない。夫が毎日20本以上たばこを吸う場合、妻が肺がんで死亡する確立は夫が非喫煙者の場合に比べ9割も高くなる。

間接喫煙の健康影響を統計的に探っている深川市立総合病院の松崎道幸内科医長は間接喫煙により心筋こうそくや肺がん、乳幼児突然死症候群(SIDS)などで早死にする人は10万人あたり5千人に上ると試算、対策の重要性を説いている。

健康に良くないと知っていても、たばこがやめられない喫煙者は多い。ただ、非喫煙者が増えるにつれて、たとえ愛煙家でもどこでも好きな時にたばこを吸えるというわけにはいかず、時には我慢せざるを得なくなっている。

日本経済新聞 1998/4/19


岡山大計画で厚生科学審

厚生科学審議会(厚相の諮問機関)の先端医療技術評価部会は17日、岡山大学医学部付属病院が申請していた肺がんの遺伝子治療計画を承認した。同計画は学術審議会(文相の諮問機関)などでも審議しており年内に承認が得られる見通し。早ければ来年1月にも臨床試験が実施される見込みだ。

岡山大治療計画は「非小細胞がん」という肺がんの末期の患者が対象。がん抑制遺伝子「p53」を人体に害がないウイルスを利用して、患者のがん細胞に送り込む。p53遺伝子はがん細胞の増殖を抑えるほか、すでにあるがん細胞を自滅に導く働きもあり、患者の体内でうまく機能すれば、がんを縮小し延命効果が期待できる。臨床では抗がん剤と併用する。

厚生科学審の部会が承認したがんの遺伝子治療は、東京大学医学研究所のじん臓がん治療計画に次いで2件目。遺伝子導入に使うウイルスの安全性については中央薬事審議会の承認を得る必要があり、審議が進んでいる。

肺がんは男性ではがんの死因のトップ。非小細胞肺がんは肺がんの8割を占める。患部を切り取っても周囲にがんが広がっているケースが多く、抗がん剤を使っても効果は限られる。

日本経済新聞 1998/9/18


昨年度、たばこ協会調べ
外国製シェア 初の25%超

2000年度中に販売された紙巻きたばこの本数は前年度比2.3%減の3,245億本で、2年連続減少したことが24日、日本たばこ協会のまとめで分かった。同協会や日本たばこ産業(JT)では「1998年の値上げや不況の影響。高齢化や新成人の減少もあり、今後も減る傾向にある」と分析している。

国産たばこの販売本数は前年度比2.8%減の2431億本、外国たばこは同0.8%減の814億本だった。外国たばこの全体に占めるシェアは25.1%で前年度に比べて0.4ポイント増となり、過去最高を更新した。外国たばこのシェアが4分の1を超えたのは初めて。
販売額も前年度比2.2%減の4兆1681億円だった。

銘柄別では、マイルドセブン・スーパーライトがシェア9.6%で3年連続トップ。2位は同9.3%のマイルドセブン・ライト、3位は同8.6%のマイルドセブンだった。外国たばこでは同2.3%のラークマイルドKSボックスがトップとなった。

日本経済新聞 2001


火事で学生死亡   八王子

2日午前6時15分ごろ、東京都八王子市南大沢4の会社員、中江川良子さん(55)宅から「きな臭いにおいがして、孫がたおれている」と家族から119番通報があった。救急隊が駆けつけたところ、中江川さんの3男で中央大学4年生の亮さん(23)が、2階の自室で倒れているのを発見。病院に搬送したが、一酸化炭素中毒で間もなく死亡した。警視庁八王子署と東京消防庁は、寝たばこが原因とみている。

日本経済新聞 2001/12/3