紙巻きたばこはその含有成分と形状、喫煙条件から、極めて複雑な燃焼過程をたどるとされている(図2)。
最近ダイオキシンの毒性、発がん性や生殖毒性、内分泌撹乱性などが明らかになり、食品、水、大気等の環境からの日常的な摂取が問題になっているが、環境中のダイオキシンについては、厚生省や環境庁により種々の基準値が設けられている(表2)。
紙巻きたばこも燃焼によりダイオキシンを発生するが、最も毒性が強く、国際がん研究機構(IARC)の評価で人に対して発がん性を示す「1」ランクである2,3,7,8−TCDDも検出されている(表3)。
たばこ煙中のダイオキシン量は、個人曝露においてもダイオキシン類の平均的な1日摂取量約0.3−3.5pg−TEQ/kg/dayの相当部分を占め、また、環境中への放出量としても無視できない大きさである(表4)
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図2 紙巻きたばこの燃焼
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表2 我が国におけるダイオキシンに関する基準値
厚生省1日摂取許容量 |
10pg-TEQ*/kg/day |
環境庁健康リスク評価指数値 |
5pg-TEQ/kg/day |
環境庁大気環境指針 |
年平均値0.8pg-TEQ/m3 |
厚生省ごみ焼却炉の排出基準 |
(新ガイドライン**)0.1ng-TEQ/m3N
(緊急対策ガイドライン***)80ng-TEQ/m3N |
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*TEQ(Toxic Equivalency Quantity) :毒性等価換算濃度。ダイオキシン類は異性体により毒性が大きく異なるため、最も毒性の高い2,3,7,8−TCDDを基準とした換算係数をかけ、他の異性体の毒性を相対的に評価した濃度。
**新ガイドラインは、技術的に可能な低減目標
***緊急対策ガイドラインは、健康影響の観点から緊急対策の必要性の判断基準 |
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ーーー1日10本で、ダイオキシン摂取許容量は超えてしまう!ーーー |
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生活環境の衣服や、室内の壁に付着し、粒子となって、吸わない人の体内にも蓄積するのは、放射能と同じ、20年後、30年後に、ガン発生や、奇形児の出産率は孫の代までも、蓄積し影響します。 |
表3 たばこ煙中のダイオキシン
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測定値 |
1日摂取量(20本喫煙、体重50kgと仮定) |
Total dioxins |
18pg-TEQ/20本 |
0.36pg-TEQ/kg/day |
2,3,7,8-TCDD |
0.56pg/20本 |
0.01pg/kg/day |
[測定値はLofroth1992] |
*TEQとしては廃棄物焼却では100分の1程度
農薬類では1000分の1程度 |
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表4 我が国のダイオキシン類の発生源別排出量
発生源 |
平均濃度 |
年間発生量 |
PCDDs[ng/Nm3] |
PCDFs[ng/Nm3] |
都市ごみ焼却 |
290-1,700 |
300-1,900 |
1060kg |
産業廃棄物焼却 |
1.7-490ng/・N |
46-55kg |
金属精錬 |
320 |
940 |
14.2kg |
紙・パルプ製造 |
160[μg/t-製品] |
30[μg/t-製品] |
2.6kg |
石油添加剤 |
30[ng/g]×800[g/L-油] |
16kg |
農薬類 |
24mg/kg以下 |
17.4kg以下 |
たばこ |
5,256 |
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3.2kg |
[平岡1990] |
「21世紀のたばこ対策検討会」第1回資料 厚生省保健医療局平成10年2月24日より
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