【ニューヨーク7日共同】世界保健機関(WHO)は7日、たばこに関連する世界の死者数が2030年までに年間800万人に上り、その約80%が発展途上国だけで占められる恐れがあると警告する報告書を発表した。先進国で喫煙の規制強化などを受け、たばこ会社が途上国に販路を拡大するためと指摘している。
WHOによると現在、世界で推定約500万人が死亡。マーガレット・チャン事務局長は、途上国でのたばこ消費拡大は「病気や死者を増加させ、労働力の減少や医療費の増加につながる」と強調。報告書では、たばこ税の引き上げや禁煙支援の拡充、健康被害の警告強化など6項目の抑制策を提言した。
報告書によると、世界の喫煙者は10億人以上。約3割が中国で、インド、インドネシア、ロシア、米国、日本が続いた。
代表的な27カ国の規制の現状も紹介。日本では通常、たばこ1箱の値段が約300円なのに比べ、英国では5ポンド23ペンス(約1090円)と高額だと指摘した。日本と米国の間では大きな差はなかった。
広告・宣伝に関する13項目の規制についても、英国は(1)国内の雑誌、新聞(2)国内のテレビ、ラジオ(3)広告看板・屋外広告-など9項目をクリア。一方で日本は「販売促進目的の値下げ」をしていないという項目が認められただけだった。
たばこ税に関しては、世界人口の3分の2をカバーする計70カ国の税収総額のうち、規制のために振り分けられる支出は0・2%しかないことが判明。規制に充てる支出を拡大するよう求めた。
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