Lesson77

たばこにも含まれるダイオキシン
枯れ葉剤として使われた




 

【ホーチミン(ベトナム南部)4日共同】ベトナム戦争で米軍が使用した枯れ葉剤の影響とみられる結合双生児として生まれ、「ベトちゃんとドクちゃん」の呼び名で親しまれた兄弟の分離手術成功から20年を記念する式典が4日、ベトナム南部ホーチミンで行われた。

弟のグエン・ドクさん(27)は手術が行われたホーチミンのツーズー病院で現在も事務の仕事をしている。2006年末に結婚し、副業でコンピューター修理会社を立ち上げるなど活躍。一方、兄のグエン・ベトさんは分離手術後も寝たきり状態が続き、昨年10月、肺炎などのため亡くなった。

式典を前に、ドクさんは「手術の話を聞くと今もうれしく感動する。この式典に兄が一緒にいることを願ったが、かなわなかった。これからの人生は亡き兄が精神的に支えてくれると思う」と元気そうに話した。

式典では、主治医で同病院のグエン・チ・ゴック・フォン前院長(女性)は「20年を振り返ると、分離手術は医学的成功以上に大きな人道的意義を持つものだった。ドクさんに一人の人間としての価値ある生活をもたらした」とあいさつ。

手術したベトナム人医師らのほか、支援を続ける藤本文朗(ふじもと・ぶんろう)滋賀大名誉教授ら日本の支援関係者も出席した。

兄弟は1981年にベトナム中部高原のザーライ・コンツム省(当時)で、下半身がつながった状態で生まれた。同病院で88年10月、日本の医師も立ち会い、12時間に及ぶ分離手術が成功した。

 

(2008年10月6日 記事提供 共同通信社 )