たばこ増税を見送り 与党の調整つかず 社会保障抑制見直し苦境に 政府、ほかの財源検討へ 【1】
与党は11日、2009年度税制改正で、社会保障費の抑制幅を2200億円より小さくするための財源として検討していた「たばこ増税」を見送る方針を固めた。政府は増税を目指したが、自民、公明両党の税制調査会などで反対意見が強く、調整がつかなかった。
政府はたばこ税以外の財源を検討し、概算要求基準(シーリング)を守りつつ社会保障費の抑制幅を見直したい考えだが、残された時間は少なく、苦境に立たされた。
町村信孝前官房長官は同日の派閥総会で「今回の税制改正で、たばこ増税はない」と明言。自民党税調幹部は「2200億円と関係なく、国民の健康のため中期的に(与党税制改正大綱に)書く」と述べた。与党は12日に大綱を決定する。
09年度予算の概算要求基準では、年金など社会保障費の自然増を2200億円抑制するが、新たな財源が確保された場合は見直せる「例外規定」がある。
政府、与党内で、たばこ税を最大で1本3円程度引き上げて1000億円程度の財源を捻出(ねんしゅつ)し、葉タバコ農家支援を除く分を社会保障費に充てる案が浮上。政府は予算編成の基本方針に、たばこ増税を念頭に新たな財源の検討を打ち出した。
しかし自民党税調では、たばこ税を社会保障費に回すことへの反発や、たばこ消費減少による葉タバコ農家や販売店への悪影響を懸念する声が噴出。公明党でも「大衆課税」と慎重な空気が強まった。
また自民党税調は11日午前の正副会長会議で、5年で合計500万円までの少額投資の配当などを非課税とする優遇制度を12年に創設、新規取得した土地の譲渡益に非課税枠を設けることで一致した。
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