ヨウ素剤基準、引き下げへ 50ミリシーベルト被ばく推定で服用


  東京電力福島第1原発事故を受け、事故時の被ばく対策見直しを進める原子力安全委員会の分科会は7日、甲状腺がんを防ぐための安定ヨウ素剤の服用基準について、予測される甲状腺での被ばく線量を現在の100ミリシーベルトから50ミリシーベルトに引き下げることで大筋合意した。

 チェルノブイリ原発事故では50ミリシーベルト程度の子どもでも甲状腺がんのリスクが上昇したとの研究結果があり、国際原子力機関も基準を50ミリシーベルトに引き下げた。分科会は関連の指針を改定するため来年3月までに提言をまとめる。

 現行の指針では、事故時に緊急時迅速放射能影響予測ネットワークシステム(SPEEDI)で甲状腺被ばく線量を試算。100ミリシーベルトに達する恐れがある場合はヨウ素剤を服用するよう求めていた。しかし今回の事故ではSPEEDIが本来の機能を果たさず政府の服用指示も遅れ、自治体が用意していたヨウ素剤がほとんど活用されなかった。

 福島第1原発事故では、原発から最大50キロ離れた地域でも甲状腺被ばく線量が50ミリシーベルトに達した可能性があり、安全委は半径約50キロの地域はヨウ素剤をあらかじめ準備しておく「放射性ヨウ素防護地域(PPA)」とする方針を示している


2011年12月8日 提供:共同通信社