東日本大震災による福島第1原発事故で東京電力は28日、原発敷地内の土壌5カ所からプルトニウムを検出したと発表した。今回の事故で核燃料から放出された可能性があるとしている。濃度は過去に行われた核実験の際に、日本で検出されたのと同レベル。「通常の環境土壌中の濃度レベルで、人体に問題になるものではない」としている。今後、敷地内と周辺の環境モニタリングを強化する。
一方、1〜3号機の建屋地下から海側に延びるトンネルと、地上につながる立て坑に水がたまり、2号機外の立て坑では毎時千ミリシーベルト以上の高い放射線量が検出された。
この線量は、15分で今回の作業員の被ばく線量の上限である250ミリシーベルトを超える。30分でリンパ球が減少、4時間程で半数の人が30日以内に死亡するとされる。
各号機のタービン建屋内でも汚染した水が見つかっており、特に2号機は毎時千ミリシーベルト以上、通常の炉心の水の約10万倍と高濃度。原子力安全委員会の班目春樹(まだらめ・はるき)委員長は2号機について「原子炉圧力容器が破損した可能性と、周囲から漏れている可能性がある」と述べた。
東電によると、水が確認されたのは27日午後3時半〜4時ごろ。公表まで丸1日以上かかり、安全委員会が連絡を受けたのも28日夕と、通報や情報公開が遅れた。
トンネルには冷却用の海水を引き込む配管や電線が通る。1〜3号機の立て坑は深さ約16〜26メートル。いずれも上端近くまで水がたまっていた。1号機の水の放射線量は毎時0・4ミリシーベルト。3号機はがれきで測定不能。2号機の立て坑内の空気中も毎時100〜300ミリシーベルトと高い線量だった。海までの距離は約55〜70メートル。東電は海の汚染につながった可能性もあるとしている。
経済産業省原子力安全・保安院は引き続き注水による炉心冷却を優先する考えを示した。
圧力容器の破損については東電が28日未明、配管などに穴が開いた可能性に初めて言及。保安院は否定的だが「あらゆる可能性を念頭に置く」とした。
原子力安全委は2号機について「溶融した燃料と接触した原子炉格納容器内の水が直接流出した」との見方。2号機以外は格納容器外に出た蒸気が凝集した可能性を指摘。安全委は菅直人首相に向け、防止策や監視強化を求める助言案をまとめた。
東電は28日も1号機の建屋内の水をポンプで復水器に回収する作業を継続。2、3号機は復水器が満水で、復水器内の水を別のタンクに移すのを検討。真水を原子炉に注入して冷却するポンプを外部電源で動かすため、2号機に続いて1、3号機の準備工事を進めた。使用済み燃料プールには29日にも配管を通じて真水を注入する。枝野幸男官房長官は「当面は今のやり方で原子炉や燃料プールを冷やし続けるのは可能だ」とした。
東電は27日、2号機建屋内の水の濃度を通常の炉心水の約1千万倍と誤って発表し、28日に約10万倍の1立方センチ当たり1900万ベクレルと訂正した。保安院は東電に口頭で再発防止を指示した。 |