現場の180人、線量計装着させず作業の日も


東京電力は31日夜、東日本巨大地震で被災した福島第一原子力発電所で、放射線量を測る線量計が不足し、復旧作業に従事する各チームの責任者だけに線量計を装着させ、作業にあたらせていたことを明らかにした。

 約180人が線量を測らずに作業していた日もあったという。東電は1日までに不足分を確保、作業工程に支障は出ないとしている。

 東電によると、同発電所には約5000個の線量計が配備されていたが、津波に流されるなどし、320個しか使えなくなった。

 被災後、同発電所では、多い日で約500人が作業していたため、東電では、全員に線量計を装着させるという従来の内規を変更。▽作業場所の線量が事前に把握できる▽1日あたりの総線量が10ミリ・シーベルト以下--などの条件を満たし、チームが同じ作業をするという前提で各チームの責任者の計測だけで、全員の線量を測ったことにしていた。

 しかし、作業員の間から不安の声が上がり、同社の柏崎刈羽原発(新潟県)などから420個を集めたという。すぐに確保できなかった理由について「(線量計の)充電器の設置場所の確保に手間取った」などと釈明している。

 海江田経済産業相は1日午前の閣議後会見で、「安全のため、基本的装備は不可欠。督促・注意をしっかり行う」と述べた。厚生労働省は「労働安全衛生法違反になる可能性がある。事実関係を調査したい」とし、経済産業省原子力安全・保安院も口頭で注意した。

2011.04.01 記事提供:読売新聞