悪玉リンパ球 加齢による免疫低下の主犯 京大大学院教授ら発見
京都大大学院医学研究科の湊長博教授(免疫学)らの研究グループがマウスを使った実験で、年齢とともに増加し、免疫力を低下させる特殊な「悪玉リンパ球」を見つけ、7日付の米科学アカデミー紀要(電子版)に発表した。悪玉リンパ球の除去がヒトで可能になれば、がんの免疫療法の効率化や高齢者の感染症予防を図ることができるとみられ、「若返り」にもつながるとして注目される。
外部から病原体が侵入すると、胸腺で生まれる「Tリンパ球」が働き、体を守る。研究グループはマウスのTリンパ球から、免疫反応をしない上、がん悪化の原因物質を作るPD―1陽性Tリンパ球(悪玉リンパ球)が生まれることを発見した。また、年を取ると、Tリンパ球全体の数は変わらないのに「悪玉」だけが増えることを確認。これまで、加齢に伴う免疫力低下は免疫細胞全体の機能劣化によると考えられてきたが、研究グループは「悪玉」割合増加で説明できるとしている。【広瀬登】
|