■歯周病予防になた豆が効果的     
              この歯周病治療の原則を守ったうえで、併用をおすすめているのが「なた豆」です。 
               私の歯科医院では歯垢や歯石を除去したあと、希望があれば、なた豆のエキスで洗浄しています。     
              抗菌剤に比べると作用はおだやかですが、自然の植物のエキスなので副作用の心配がありません。 
               患者さんからの評判も良く「なた豆エキスで洗浄してもらうと口の中がすっきりする」と感謝していただいています。 
               なた豆は昔から「膿取り豆」と言い伝えられ、歯槽膿漏や蓄膿症などの民間療法に  用いられてきたといわれています。     
              経験的に歯ぐきや鼻腔の膿が消える作用が認められたことから「膿取り豆」と呼ばれたのではないでしょうか。     
              最近では、伝承だけでなく科学的なアプローチも進んできました。成分分析の結果、  なた豆には抗炎症作用のあるカナバニンというアミノ酸が含まれていることが分かりました。なた豆をお茶にして飲むと、歯ぐきの腫れや出血などの炎症が、比較的早期  に改善される傾向がありますが、これは、カナバニンなどの抗炎症成分が働いている  からだと考えられます。     
              さらに、なた豆からは免疫力を高めるコンカナバリンAという成分も発見されてい  ます。     
              なた豆茶の飲用を続けていると、歯周病が再発しにくくなる傾向が見られますが、  これは免疫力が高まることによって、口腔内の細菌バランスがよくなり、善玉菌が優勢な状態を維持しやすくなるのではないかと考えています。 
               実は、ケアをきちんとしているにもかかわらず、歯周病になりやすい人がいます。   
              このような人は、おそらく口腔内細菌バランスが改善しにくい体質の方だと考えられ  ます。こうした方も、なた豆茶の飲用によって免疫力を高めることをお勧めします。 
               最近では、お茶のほかに、なた豆のエキスを配合した歯磨き剤も市販されています。     
              こちらは歯ぐきへの直接的な作用が期待できると思われます。歯磨き剤というと、  家族全員が同じものを使っていると思われがちですが、最近は高齢化するにつれて自分専用の歯磨き剤を用いる人の割合が増えているようです。     
              選ぶポイントは「歯周病予防に役立つ」が約30%でトップを占めているそうです。     
              歯周病が気になる世代は、なた豆歯磨き剤などの歯周病予防効果が期待できる「マ  イ歯磨き」を選ぶとよいでしょう。     
              ■早期発見と継続的ケアで健康な歯を     
              歯周病は自覚症状があまりないまま進行します。歯ぐきに膿がたまり、悪臭を放つ  ようになって、初めて気がつくというケースも珍しくありません。     
              できれば歯ぐきの腫れや出血、口臭などに気づいたあたりから、早めに治療を開始するのが理想的です。     
              また、重症の歯周病になってしまったとしても、あきらめることはありません。歯槽骨の三分の二以上が溶けてしまった人が、なた豆茶を飲みながら歯周病の治療を受けることで、歯を抜かずにすんだ例があります。いったん溶けてしまった歯槽骨は元  には戻りませんが、残った骨や歯ぐきが引き締まってきたので、歯のぐらつきなども  改善されてくるのです。 
               最初にお話ししたように、歯周病さまざまな病気の誘因ともなる病気です。 
              「たかが歯周病」と軽視することなく歯科医院にしっかり相談し、なた豆などで歯と歯ぐきのケアを継続してください。
                
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