高知県産ユズの種を搾って取った油に、アトピー性皮膚炎のかゆみを引き起こす原因物質「ヒスタミン」の分泌を抑える効果があるとする研究成果を10日、高知大医学部の溝渕俊二教授(臨床看護学)らが発表した。12日から大阪国際会議場(大阪市北区)で始まる日本アレルギー学会春季臨床大会で報告する。
アトピー性皮膚炎は、乾燥などで皮膚のバリアー機能が低下し、アレルギーを起こす原因(アレルゲン)が入り込んで炎症を引き起こす。表皮の下にある真皮の肥満細胞とアレルゲンが結びついてヒスタミンが分泌され、かゆみが生じる。
溝渕教授らは、アトピー性皮膚炎のマウスの皮膚に、ユズ油やオリーブ油を塗ってヒスタミン量を測定。精製したユズ油を塗ったマウスの皮膚は、オリーブ油や未精製ユズ油を塗った皮膚より大幅にヒスタミン分泌量が少なかった。溝渕教授は「保湿性を保つだけでなく、油に含まれる何らかの成分がヒスタミンの分泌量を抑えたと考えられる。今年度中にも有効成分を特定したい」と話している。【倉沢仁志】