食品栄養表示、義務化へ…脂質・ナトリウムなど5項目
消費者庁は、熱量やナトリウムなど食品の栄養成分表示を義務化する方針を固めた。
栄養バランスのとれた食生活を送るため、商品を選択しやすくすることなどが目的だ。同庁は来年度にも法整備に着手する。トランス脂肪酸などの表示は引き続き検討する。
栄養成分の表示は現在、基本的には事業者が任意に行っている。健康増進法で基準が定められているのは、商品に「脂肪30%カット」「カルシウムたっぷり」といった強調表示などをする場合。その成分の含有量を表示するとともに、〈1〉エネルギー(熱量)〈2〉たんぱく質〈3〉脂質〈4〉炭水化物〈5〉ナトリウム--の5項目の含有量をこの順番で表示しなければならない。
同庁はまず、熱量などの5項目の含有量の表示を、原則としてすべての食品に義務づける。ただ、表示する際の優先度を見直し、ナトリウムを2番目に表示することを検討している=表参照=。日本人は世界の中でも塩分などからのナトリウムの摂取量が多く、それが脳血管疾患のリスクと関係しているとのデータもあるからだ。
過剰摂取すると心疾患のリスクを高める「トランス脂肪酸」や「飽和脂肪酸」、「食物繊維」や「糖類」などの成分の義務化については、引き続き検討する。
また、含有量と表示の誤差の許容範囲や、チェックのあり方など具体的な取り組みについても議論する。
同庁は昨年11月、関東地方の大手スーパー3店舗で633食品を調査した。82%の商品にこの5項目の表示があった。ただ、食品の業界団体などは、「義務化となれば中小企業にとっては負担も大きい。成分の含有量を分析するのにコストもかかる」と困惑している。
消費者団体「主婦連合会」(東京)事務局長の佐野真理子さんは、「栄養成分の含有量は、商品を選ぶ際にとても重要な要素。事業者は、消費者に分かりやすく表示をするよう工夫してほしい」と話す。
海外では、健康志向の高まりなどから、米国やカナダ、中国、韓国など、栄養成分表示を義務化する国が増加している。同庁では昨年12月から、学識経験者や業界関係者による検討会を開き、表示のあり方について話し合ってきた。 |