国内メーカー製の点滴用のプラスチック製パックを作る際に加える化合物が、パック内の点滴液に混ざっていることが分かったと、岡山大病院薬剤部の千堂年昭(せんどう・としあき)教授のグループが15日発表した。グループは「直ちに健康に影響が出る濃度ではない」としている。
グループによると、混ざっていたのはエチレンなどプラスチック製品の原料を固形化するのに使う重合開始剤。点滴液を入れた後にパックから溶け出したり、製造時にパックにこびりついたものがはがれ落ちたりしている可能性がある。
グループがパックのメーカーに結果を伝えたところ「すぐに改良する」と返答があったという。国内の点滴パックの大半がプラスチック製で重合開始剤が使われているとみられる。
点滴液内の重合開始剤は液体で、点滴の際に使われるフィルターでは効果が薄いという。
研究では、500ミリリットルパックの点滴液から、有機溶媒を利用して重合開始剤を分離したところ、1ミリリットル当たり5・6マイクログラム(マイクロは100万分の1)検出された。
検出された重合開始剤を、1ミリリットル当たり約440マイクログラムと濃度をかなり高くした上で、人の血液から取り出したリンパ球1万個に加えると、48時間後にリンパ球が死滅して半減した。
同グループの研究結果は日本薬学会の専門誌電子版に掲載された。