女性は月経前に、嫌悪するものに対する感受性が高まることを京都大霊長類研究所(愛知県犬山市)のグループが突き止め、8日付の英科学誌電子版に発表した。
イライラや憂鬱(ゆううつ)など月経前に心や体に現れる不快症状は「月経前症候群」として知られるが、その判断は本人への質問による主観的な気分の聞き取りにとどまっていた。
チームの正高信男(まさたか・のぶお)京大教授(認知神経科学)は「自分に有害なものを排除する傾向が強くなり、さらにこれが進むとイライラしたりすると考えられる。客観的な実証は初めて」としている。
チームは、29歳と30歳の健康な独身女性60人に花の白黒写真8枚とヘビの白黒写真1枚の計9枚が並んだタッチパネル式の画面から、できるだけ速くヘビを見つけてもらい、時間を計測。
すると、月経が始まる3〜4日前は、これ以外の時期と比べ、約0・2秒速く見つけられた。
正高教授によると、これまでに米国のグループが、排卵後に増える黄体ホルモンが不安や怒りの感情に関わる脳の部位を活性化させることをマウスで解明。今回、ヘビを嫌う感受性が鋭くなったことから、ヒトでも黄体ホルモンが月経前の症状に影響している可能性がある、としている。
※英科学誌はサイエンティフィック・リポーツ