触覚刺激で脳発達 赤ちゃん、京大解明
生まれて間もない赤ちゃんの手に振動を与えて触覚を刺激すると、視覚と聴覚への刺激に比べ、脳の広い範囲が活発に働くことを京都大のグループが突き止め、23日発表した。触覚が脳の発達に大きな役割を果たすと考えられるとしている。
グループによると、胎児は手の指をくわえ、自分の顔や体に触れるなど母胎で触覚による学習を始めているとみられる。
早産の子が親と肌を触れ合うことで体重が増え、入院期間も短くなることがあり、明和政子(みょうわ・まさこ)准教授(発達科学)は「早産児でも今後調べ、本来は時期的にまだ母胎にいるはずの赤ちゃんがどんな養育環境で過ごすのが良いかなどを提案したい」としている。
グループは島津製作所(京都市)と共同で、赤ちゃんの頭部全体の脳活動を測れる機器を開発。
眠っている赤ちゃんの触覚(振動するモーターを握らせる)、聴覚(ピアノなどの音を聞かせる)、視覚(光をフラッシュ)をそれぞれ刺激し、脳の活動状況を示す血液中の酸素濃度を計測した。すると、聴覚と視覚刺激では脳の活動が一部だったのに対し、触覚刺激では、広い範囲で酸素濃度が高まっていた。
赤ちゃんは脳を広範囲に活動させながら、脳を発達させていくという。
成果は英科学誌電子版に掲載された。
※英科学誌はニューロリポート