心筋梗塞による死亡率は、女性が男性の約2倍に上ることが、東北大の調査で分かった。
発症率は男性の方が3倍弱高いが、女性は一般的に痛みに強いために我慢し、救急搬送が遅れるのが要因とみられる。30年にわたり2万人以上を対象にした調査で、心臓病の死亡率に明確な男女差が出たのは世界初とみられる。
同大が1979-2008年、心筋梗塞を治療する宮城県内43病院に調査した。発症件数は男性1万6238人、女性6313人と、男性が3倍弱多かった。平均発症年齢は男性65歳、女性75歳と、10歳の開きがあった。平均死亡率は男性が7・2%で、女性は13・3%に上った。
発症から病院に運ばれるまでの時間は、男性(383人)が平均145分に対し、女性(100人)は215分で、治療で血流が再開するまでは男性が225分、女性が270分と差があった。
調査を担当した同大の伊藤健太准教授(循環器内科)は「女性の死亡率が高いのは、発症年齢が男性より高いのに加え、女性のほうが痛みを我慢して救急車をなかなか呼ばない傾向があるのではないか」と分析する。
心筋梗塞の発症予防は難しいため、「発症から2時間以内に治療すれば多くは助かるようになってきた。胸に強い痛みを感じたら、すぐに救急車を呼んでほしい」と話している。