胃がんから転移した肉眼では見えない小さながんを、蛍光物質で光らせて腹腔(ふくくう)鏡で早期に見つけることに成功したと大阪府立成人病センターが9日、発表した。
石川治(いしかわ・おさむ)病院長は「小さな転移をより早く発見でき効果的に抗がん剤治療ができるため、多くの患者を救えるかもしれない。他のがんにも使える可能性がある」としている。
同センターによると、進行した胃がんでは、切除しても再発することが多く、術後5年間の生存率は約30%と低い。再発原因の6割以上が腹膜への転移とされるが、転移した病巣は非常に小さく、手術時に肉眼で見つけるのは難しかった。
同センターは、アミノ酸の一種「アミノレブリン酸」が、正常な細胞では短時間で代謝されてなくなるが、がん細胞では赤い蛍光を発する物質に変わって、蓄積することに着目。
進行した胃がん患者20人に投与し、4時間後に蛍光も観察できる腹腔鏡で調べた。すると、肉眼では転移を確認できなかった14人のうち、4人で腹膜や肝臓の表面に微小な転移が見つかった。
成果は、千葉市で開かれる日本外科学会で14日に発表される。