夫のプカリ、気を付けて

1万6000人の調査  「本人も吸う」1割

日妊婦の3人に2人が、夫らのたばこの煙を日常的に吸い込む受動喫煙の危険にさらされていることが26日、厚生労働省の付属機関、国立保健医療科学院(埼玉和光市)のアンケートで分かった。

調査をまとめた同科学院元部長の大井田隆・日大教授(公衆衛生学)は「赤ちゃんの健康を考えれば、本人はもちろん、妊娠中は夫らも禁煙するべきだ。行政や医療機関がもっと積極的にたばこの害を啓発する必要がある」と指摘している。

調査は今年2月、47都道府県の産科がある医療機関計260施設で実施、計16,528人から回答を得た。

「日常的にあなたの前でたばこを吸う人がいるか」との問いに「いる」と答えた人は、ほぼ3人に2人に当たる計10,268人。喫煙者は「夫」が約82%と最多で、ほかに「夫以外の家族」「友人・職場の同僚」などだった。

流産のリスクを高める可能性
受動喫煙 ほかの人が吸っているたばこの煙を周りにいる人が吸い込むこと。たばこの煙には発がん物質を含む4千種類以上の科学物質が含まれ、喫煙者本人だけではなく周囲の人の健康にも悪影響を与える。
妊婦の受動喫煙は流産のリスクを高める可能性が指摘されているほか、育児中の両親の喫煙で赤ちゃんが乳幼児突然死症候群(SIDS)を発症するリスクが高くなることも旧厚生省の調査で判明している。

半数以上が「喫煙者に近づかないようにする」「自分の近くで吸わないよう伝える」「換気に気を付ける」などの自衛策を取っていたが「相手に禁煙を勧めた」は約14%と少なかった。

一方、全体の約10%は妊婦本人が喫煙しており、そのうち10人に9人は胎児への影響を知りながら、喫煙を続けていた。

妊婦の喫煙は流産のリスクを、吸わない人の1.5−2倍に増加させることが国内外の研究で明らかになっている。

 

(2002.7.27 日本経済新聞)