日焼け問題、米皮膚学会激怒 【米国皮膚科学会】
米国日焼け協会が「問題は医療機関」の声明
米国皮膚科学会(AAD)は1月7日、米国日焼け協会(American Suntanning Association:ASA)の出した声明に対して、「馬鹿げていて、データがない」と強硬に批判する声明を発表した。
昨年、日焼けマシンが悪性黒色腫やそのほかの皮膚癌を増やすとする論文が報告されたほか、9月には米国のイリノイ州で18歳以下の日焼けマシン利用を禁止する条例が成立していた。AADも日焼けサロンの危険性に対して警鐘を鳴らしていた。
今回、AADがなぜ「激怒」するに至ったかと言えば、ASAが癌増加の原因は医療機関にあると皮膚科の治療に矛先を向けてきたからだ。危険性を示した従来のデータを受けて、ASAは声明で「日焼けマシンで疾患が増えるのは、事業会社が提供する日焼けサロンによるものではない」と強調。その上で、データ上、癌が増えたのは、研究の対象が医療機関で美容目的に行われる光線療法を受けた患者や自宅で日焼けマシンを使用している患者だったからだと説明した。さらに、「プロの日焼けサロンだけを研究対象とすれば、日焼けに伴うリスクは消えるだろう」とも言い切った。
その声明に対して、今回、AADは速やかに反論した。まず、「医療機関で使用する光線療法は皮膚科医の監督の下で実施し、安全である」と強調。むしろ事業会社の日焼けサロンでは紫外線の知識がないスタッフがサービスを提供していると指摘した。
さらに、AADは、医療機関で乾癬、尋常性白斑、アトピー性皮膚炎の治療に使用される機器は、米国食品医薬品局(FDA)の承認を受けていると強調。商用の日焼けマシンは承認を受けたものではないと問題点を挙げた。また、米国連邦取引委員会(FTC)が、「屋内日焼け協会(Indoor Tanning Association)が挙げる日焼けの利益には誤り、誤解がある」と指摘した事実にも言及。日焼けサロンの安全性や利益に疑義を呈した。
最後にAADは「皮膚科医は人々を紫外線の脅威から守る義務を負っている」と付け加えた。日焼け問題をめぐって、しばらく舌戦が続きそうな様相を呈している。