夜間に豆電球程度の照明をつけたまま寝ると、肥満の原因になる可能性があることが、奈良県立医大(同県橿原市)の大林賢史特任助教(36)らの調査研究でわかった。
調査は2010年9月-12年4月、県内の高齢者528人を対象に実施。自宅の寝室や居間に2日間、センサーを設置して睡眠時の照度や室温を測定した。照度3ルクス未満のほぼ真っ暗な状態で寝ていた383人のうち、肥満の程度を表す体格指数(BMI)が25以上の「肥満」だった人は68人。一方、照度約9ルクスの豆電球程度の明るさだった145人では39人が肥満だった。両者を比べると、豆電球程度の明るさで寝ていた人の方が、肥満の割合が1・9倍、中性脂肪が高いなどの「脂質異常症」では1・7倍多かったという。
また、夜勤労働者には肥満の人が多いとされており、夜間に強い光を受けることで生体リズムに変調をきたすことが原因の一つと考えられている。ラットに夜間、5ルクスの光を当てると食欲が増して体重が増えるとの実験結果もあり、大林特任助教は「日中は室内にいて日光を浴びず、夜は人工照明を多く浴びる現代人は多い。光の浴び方が健康に及ぼす影響をさらに解明していきたい」と話している。