森林セラピー:癒やされて 記者が体験
血管年齢「68」→「30」に驚き−−飯南町 /島根
自然の中で癒やされたい――。そんな人たちにお勧めなのが「森林セラピー」だ。科学的に効果の裏付けられた森林浴のことといい、ストレスと闘う現代人の心身を健康に保つ狙いがある。県内で唯一、体験できる飯南町に赴き、私も体験してみた。【金志尚、28歳】
森林セラピーは、東京都のNPO「森林セラピーソサエティ」が認定した全国48カ所の森で体感できる。リラックスした時に働く副交感神経の活発具合など、生理的な効果を科学的に実証できたコースが認定対象になるという。
飯南町では「森のホテル もりのす」(小田)周辺がセラピーロード(2・3キロ)として07年に認定された。
ホテルに行くと、最初に「ヘルスチェック」を受ける。血圧や心拍のほか、血管年齢などを測り、心身のストレスがどの程度あるのかを探るためだ。
私の場合、肉体的ストレスは問題なかったが、精神的ストレスが「やや高い」と出た。人さし指を機械に入れて血液循環を調べると、血管年齢は「68歳」と表示された。東京出身で島根の寒さがこたえるとは思っていたが、実年齢の2倍以上とは! 朝食を食べてこなかったのが原因だろうか。
気を取り直し、準備を整えていざ出発。雪が残っているこの時期は「スノーシュー」と呼ばれる小型のスキー板のようなシューズを履いて雪の上を散策する。裏に刃があり、滑って転ぶ心配がない。
登録ガイドの荻野英明さん(41)の後を付いて歩く。普通なら2時間半かけてゆっくり歩くが、この日は特別に短縮してもらう。コースはほぼ平らの散策道だ。周囲に杉などが生い茂り、まさに森の中を歩いていく。
途中、道沿いの小川に立ち寄った。「飲めるんですよ」と荻野さん。手にすくって飲んでみると、柔らかい口当たりがした。少し歩いたところで、荻野さんが「目を閉じて深呼吸しましょう。耳が研ぎ澄まされます」。確かに、目を閉じると川のせせらぎが、よりはっきり聞こえた。
荻野さんは「森は一日一日表情が違う。だから何度来ても楽しめます」と話す。五感が刺激され、日常からの解放感を大いに味わうことができた。
終了後、再びヘルスチェックを受ける。血液循環が大幅に改善し、血管年齢も「30歳」と驚くほどに“若返った”。それでも精神的ストレスだけは「やや高い」のままだ。1回では改善出来ないほどのストレスが溜まっているのだろうか。これからは上司や同僚に優しく接してもらうことにしよう。
森林セラピーの事務局がある「森のホテル もりのす」(0854・76・3119)へは、出雲市内から車で約1時間半。セラピーは事前予約が必要で、約50人がガイドに登録されている。ガイド料は、大人2500円、高校生以下1000円、小学生以下無料。