アトピー性皮膚炎やぜんそくなどのアレルギーを悪化させる「火付け役」と考えられていた原因物質が、逆に炎症を抑制する「火消し役」に変わる仕組みを、東京医科歯科大の烏山(からすやま)一教授(免疫アレルギー学)のチームがマウスの実験で発見したと発表した。アレルギー疾患の新たな治療法の開発が期待できる。21日付の米科学誌イミュニティ(電子版)に掲載された。
アレルギーは本来有害ではない花粉などを敵だと思い、白血球などの免疫反応が過剰になって炎症が起こる現象。しかし、アレルギー性炎症を抑制・終了させる仕組みは十分解明されておらず、治療の大半は対症療法となっている。
チームは、慢性アレルギー炎症を起こしたマウスの耳の細胞で、さまざまな種類の白血球の動きを調べた。その結果、細胞内で炎症を起こす白血球の「炎症性単球」が別の白血球の指令を受けて、アレルギー物質を取り込んで壊す「火消し役」に変わっていることが判明した。【斎藤有香】