腸内細菌、ぜんそくに影響 抗生物質で症状悪化
  

 抗生物質の服用で腸内細菌のバランスが崩れ、ぜんそくの症状が悪化する仕組みをマウスで解明したと、筑波大の渋谷彰(しぶや・あきら)教授らの研究チームが15日付の米科学誌電子版に発表した。

 渋谷教授は「新しいアレルギー治療につながる可能性がある。今後は患者での研究を進めたい」としている。

 チームは、マウスにアレルギーの原因物質を吸入させ、ぜんそくを発症させた。あらかじめ抗生物質を投与したマウスは、投与しないマウスより気管支で炎症を起こした細胞が約2倍多く、症状が重かった。

 詳しく調べると、腸内でカビの一種「カンジダ」という悪玉菌が増える一方、乳酸菌などの善玉菌が減っていることが判明。カンジダが作り出す物質が免疫細胞を活性化し、気管支の炎症などのアレルギー反応を起こしていると判断した。

 カンジダの増殖を抑える薬剤や、カンジダが物質を作らないようにする薬剤を投与すると、マウスのぜんそく症状が軽くなったことから、チームは治療薬の開発につながる可能性があるとみている。

 ※科学誌はセル・ホスト・アンド・マイクローブ

2014年1月16日 提供:共同通信社