1分早いtPA開始、1日を救う 【米国心臓協会】
15分遅れると健康な期間が1カ月短縮
米国心臓協会(AHA)は3月13日、脳卒中後の血栓溶解薬(tPA)投与が1分早ければ、健康な生活が平均1.8日延長することを示した研究を紹介した。Stroke誌に掲載。
この研究は、血栓溶解治療に関して現在までに報告された主要な治験の結果を総合して分析したもの。オーストラリアとフィンランドの脳卒中治療を継続する患者2258人について、治療開始が早かったり遅かったりした場合、どのような患者転帰を示したかを計算した。
その結果、治療開始が15分遅れるごとに、障害のない生活が約1カ月短縮すること、血栓溶解治療開始が1分早まるごとに、健康な状態での生活が平均1.8日延長することが分かった。早期治療は全ての患者に有益だったが、平均余命の長い若年患者は、高齢の患者より多少利益が大きかった。
虚血性脳卒中に対するtPA投与は、発症後4.5時間以内に開始するべきとされるが、開始が早いほど転帰は良い。研究者は「今回の研究は、早期治療の重要性を定量的に示すことが目的。具体的で分かりやすい数値で表すことで、医療の改善につながればいい」と述べ、脳卒中の徴候「顔の麻痺(Face droop)」「腕の麻痺(Arm weakness)」「言葉の障害(Speech disturbance)」があれば、発症時刻(Time)を確認してすぐ受診するよう呼び掛けている(F.A.S.T)。
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