人生の1/3は睡眠、より快適に 寝心地試してベッド選び
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春眠暁を覚えず――。あたたかくて眠い春がやってきた。新たな気持ちで仕事や勉強に取りかかろうと気を引き締めたい新年度、会議や授業中にふとした眠気に襲われて、ひやっとする人も多いだろう。春の眠気を吹き飛ばすため、寝具選びのコツや便利グッズを調べた。【倉田陶子】
■素材、厚みで差
日本人の1日の睡眠時間は、平日7時間14分(2010年、NHK放送文化研究所調べ)。人生の約3分の1を過ごすからこそ、寝心地のいい寝具を選びたい。
昔は畳の上に布団を敷くのが定番だったが、和室のないマンションが増えるなど住宅環境や生活習慣の変化により、ベッドを選ぶ人が増えている。無印良品の調査(09年)ではベッド派が57%いて、布団派を上回った。
世界最大の家具チェーン店「IKEA神戸」(神戸市中央区)のベッドルームコーナーマネジャー、町田勝己さん(39)は「ベッドを選ぶ時は必ず横になって寝心地を実感してください」と話す。
同店には、素材や厚みなどが異なるマットレスが約20種類ある。バネを使いはずむような寝心地のスプリング▽ウレタン素材で布団の寝心地に近いフォーム▽ゴム製で反発力のあるラテックス――など、マットレスの素材によって寝た時の感覚も異なるという。
IKEAでは店頭のパソコンに、寝る時の姿勢や体形、体重などを入力すると、最適のマットレスを自動的に選んでくれるサービスがある。「日本人は全体的に硬めのマットレスを好む傾向にある」と町田さん。パソコンが選んでくれたマットレスを試してみたら、より良い寝心地を得られるかもしれない。
マットレスは、座った時には体が沈み込んで軟らかいと感じても、寝そべると体をしっかり受け止めてくれて適度な硬さに感じることがある。遠慮せずにいろいろなマットレスを試してみることが、最適なベッドに出合う秘策のようだ。
町田さんが夫婦やカップル向けに勧めるのが、「シングルベッドの2台買い」だ。2人でダブルサイズのベッドを使うと、マットレスの硬さが好みと合わなかったり、相手の寝返りの振動で目が覚めてしまったりと快眠を妨げかねない。シングルベッドならそれぞれ好みの硬さのマットレスを選ぶことができ、並べて寝ていてもマットレス自体は独立しているので寝返りなどの振動も伝わりづらい。
■アプリで判断
睡眠の特徴を客観的に判断してくれるアイテムも人気だ。枕元に置くだけで睡眠状態を測定できるオムロンヘルスケア(京都府向日市)の「ねむり時間計」(オープン価格)は、寝る前にスイッチを入れるだけ。加速度センサーが寝具の動きを感知し、寝付くまでにかかった時間や寝返りの回数、睡眠状態を計測する。
データはスマートフォン(多機能携帯電話)に転送でき、専用アプリ「ねむり体内時計」で1週間分のデータを分析してくれる。「睡眠時間」「起床時刻」「就寝時刻」「寝つき時間」「起床にかかった時間」の五つを評価し、「夜更かし型」「朝寝坊型」など眠りの特徴を9種類で判定。起床までに時間がかかる人には「カーテンは朝の光が入るように開けておくのがポイント」などと、快眠のためのちょっとしたアドバイスもしてくれる。
スマホの無料アプリも手軽に使えて便利だ。エスエス製薬(東京都中央区)が開発した睡眠記録アプリ「ぐっすり〜ニャ」は、スマホのスクリーンをシーツに接するように置くだけ。寝返りなど睡眠時の体の動きにスマホの加速度センサーが反応し、眠りの深さを計測。「めざめ」「浅い眠り」「深い眠り」の3段階でグラフ化し、「寝つきが悪い」「寝起きに時間がかかった」など、自分の睡眠の特徴を知ることができる。
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