大気汚染が子どもに与える影響
◇京あんしんこども館(中京区)澤田淳さん
このごろ、テレビのニュースで、中国の北京や上海の空が暗く薄黄色っぽく、かすみがかかって汚れたような映像が映っています。そこには、混雑している自動車の群れがあり、道路の横にはマスクをしたり、タオルなどで口や鼻を押さえているたくさんの人たちがいます。コメントでは、目にも入って痛いと言っています。
この原因は空中にたくさん飛んでいる微小粒子状物質(PM2・5)とか、黄砂だと新聞にも出ています。この物質が、中国の空から日本へも流れてきています。
日本では程度が軽いので、マスクやハンカチを口に当てている人や、涙を出して痛がっている人を近畿では見ませんが、北九州や山口県、島根県方面への飛散が話題になっています。京都でも北の空が薄く黄色っぽいことがあり、車の屋根やフロントガラスに細かい砂のようなサラサラした物がたまったことがありました。
このPM2・5は、大きさが2・5マイクロメートル(1マイクロメートルは1000分の1ミリ)以下、つまり髪の毛の太さの30分の1くらいの小さな粒子で、大気汚染の原因となっています。これらはボイラー、焼却炉、コークス炉などから出る煙や、鉱物の堆積(たいせき)場からの粉塵(じん)、自動車、船舶、飛行機から出る煙、自然には砂漠、火山からの砂塵が混じったもので、内容は硫黄酸化物や窒素酸化物などです。
これを吸い込むと、大人でも子どもでも肺の奥深くにまで入り込み、呼吸器系(鼻、気道、肺)に沈着したり、ぜん息やアレルギー鼻炎の発生や悪化にかかわり、肺がんの原因にもなりそうです。子どもへの影響は大人より大きいという報告もあります。
沈着した粒子がどのように変化するかは研究中です。日本では排出規制のための専門家委員会ができていますが、中国では大気汚染対策が遅れているのでしょう。上海では日本の数十倍飛んでいるそうです。
PM2・5が飛んで来ているという情報があれば、家の窓を閉めて、外出を控えましょう。消極的な対策ですが、子どもたちに吸わせないように気をつけてください。
引用:毎日新聞社 2014年6月17日(火)