金沢大と東京大大学院の研究チームが、大脳皮質の神経回路の形成を制御する遺伝子がカドヘリンというタンパク質であることをマウスの実験で特定した。金沢大の河崎洋志(かわさき・ひろし)教授(分子神経科学)は「大脳皮質の異常が関係する、自閉症や統合失調症などの発症の仕組みを理解するのにつながる」と期待している。
18日までに、英科学誌オンライン版で発表した。
チームによると、神経回路は神経細胞がつながって形成される。細胞を結合するのがカドヘリンで、この遺伝子が大脳皮質の神経回路形成に重要な役割を果たすと長年推測されてきたが、河崎教授らが初めて実証に成功した。
チームは大脳皮質にあるバレルネットと呼ばれる神経回路に注目。カドヘリンの働きを阻害するタンパク質を加えたところ、バレルネットは細胞同士が正常に結合できず、回路の形成に異常が現れた。
大脳皮質以外の脳の部位でも、神経回路の形成にカドヘリンが関わっている可能性があり、河崎教授は「脳全体の形成の仕組みが解明されるかもしれない」と話している。
注)英科学誌は「セレブラル・コルテクス」
引用:共同通信社 2014年9月18日(木) 配信