同じポーズ長く 連続技も
最近、米国から筋肉の鍛錬につながる新型ヨガ(ヨーガ)が上陸、女性を中心に人気を集めている。自分の体を見つめ直しながらじっくり鍛えるヨガトレーニングの効果を探る。
「コブラのポーズから、次は犬のポーズです」。新型ヨガによる鍛錬の流れは至って単純。インストラクターが次々と示すヨガ独特のポーズをまねるだけだ。だが、これがかなりの運動になる。初心者は15−30分も続けると全身に汗がにじみ、腹や太ももなどの筋肉が疲れを訴え始める。
筋トレの要素を高めた新型ヨガは米国では「パワーヨガ」などと呼ばれ数年前から流行中。日本でも大手フィットネスクラブのティップネスが各店に導入したほか、専門の教室も登場し、受講者が増えている。
無理はしない
新型ヨガと従来のヨガの違いは何か。専門教室「綿本パワーヨガスタジオ」(東京・中央)の綿者彰総師範は「1つのポーズをとる時間が長いことと、休憩をあまり入れずに連続していくつものポーズをとることの2つだけ」と明かす。
使うポーズは一般のヨガと同じだが、そのポーズをとって耐える時間が長いうえ、休まず次々とポーズをとるので、運動としてきつくなる。その分筋肉が使われ、トレーニング効果が高まるわけだ。特に「腹、尻、ももといった体の幹に当たる筋肉に効く」(綿本さん)。こうしたシェイプアップに加え、姿勢も良くなるという。
筋トレといっても「バーベルなどを使う鍛錬とは性格が異なる」(ティップネスのヨガインストラクター、上山千春さん)。一般的に、重い物を持ち上げるなど筋肉を収縮する運動は太い筋肉を形成し、体を伸ばした状態を保つ運動は細かい筋肉の鍛錬になり、しなやかな体のラインを作る効果があるとされる。
新型ヨガは部分的なら、家庭内でもできる。左図は綿本さんが紹介するパワーヨガの一例。図の通りにポーズがとれなくてもいい。痛みを感じない範囲で、まねれば十分だ。無理に体を伸ばすとケガしかねない。
運動効果を高めるコツはまず呼吸。ヨガの呼吸法は鼻で吸い、鼻で吐くのが基本。おへその「丹田(たんでん)」に力を入れ、深くゆっくり呼吸する。呼吸すれば体がリラックスし、ポーズを保持しやすくなる。
自分の筋肉意識
ポーズをとる際、どの筋肉が使われているかを意識することも重要。自分の体の動きを確かめながら集中してポーズをとるほど効果的。逆にテレビを見ながらなどの「ながら運動」は十分な効果が期待できない。
最近は新型ヨガに一脈通じる運動として、「ピラテス」も注目される。こちらも腹など体幹を中心に細い筋肉を作る運動として欧米などで人気がある。「底流に精神修練の要素もあるヨガと違い、最初から筋肉トレーニングとして考案された」。本場のカナダで学び、ピラテスの一流派「ストットピラテス」公認インストラクター資格を持つ山口実由紀さんは説明する。
ストットピラテスの入門編的な運動は、ヨガ同様、ゆっくりと呼吸しながらする。呼吸法鼻で吸い、口で吐く。「どの筋肉が使われているか、頭で考えながらやろう」。集中しないと、ありふれた腹筋運動と変わらなくなってしまう。山口さんは書籍やホームページ(http://www.bodymode.jp)などでピラテス関連の情報を提供している。
新型ヨガもピラテスも最初は難しいが、じっくり取り組めば、どの部位の筋肉が弱いかがわかり、自然と意欲も増すそうだ。
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