長風呂を楽しむ女性が増えているといわれる。ゆったりくつろぎながら、シャイプアップも期待出来る入浴法を紹介しよう。 |
お風呂でやせようとすると、普通は汗をかくために湯の温度を高めにしがち。だが、これは必ずしも正しいやり方とはいえない。
日本自然療法学会会長で医学博士の大槻彰氏は「熱いお湯では入浴時間が短くなり、かえってシェイプアップ効果が限られてしまう」と話す。大事なのは入浴時間の長さで、30分以上が1つの目安。湯温は個人差もあるが40度以下で「少しぬるいと感じるくらいでちょうどよい」(大槻氏)。
お湯にじっくりつかると体内各部の血管が拡張し、血行がよくなる。血が円滑に酸素、栄養素が行き渡る一方、老廃物もきちんと運ばれ、新陳代謝が活発になる。やせるには、こうした機会を日常的に持つことが大切。つまり、入浴シェイプアップ成功のカギは毎日、できるだけ長めにお風呂に入ることなのだ。
体への負担配慮
もっとも、肩までしっかりつかる入浴を毎日繰り返すのは意外に体への負担が大きい。普段あまり意識しないが、風呂の湯につかった部分には実はかなりの水圧がかかっている。肩までつかる入浴は、心臓や肺への影響が大きく、中高年や心肺機能に不安がある人は危険を伴う恐れがある。
比較的多くの人が気軽にできるのが半身浴だ。半身浴では湯はおへそから拳一つ程度、みぞおちあたりまで入れる。これなら心肺に水圧はかからず、体の負担が軽減する。湯を入れる時間が短くて済むので、忙しい平日の夜も簡単に入浴できる。その分、30分以上をメドにできるだけ長めに浴槽につかろう。
肩を出す半身浴は寒いと思われがちだが、工夫次第で温かく入れる。浴槽のフタをしめて首だけ出したり、すそを短くむすんだシャツを着たまま入るなど、方法は様々。入浴中、ひじやひざの曲げ伸ばしや腰をひねるなどの運動をするのも有効だ。湯の抵抗があるので、筋肉に適度な負荷がかかって体が温まる。何回もすれば体の線の引き締め効果も期待できる。
こうした半身浴を毎日繰り返すことが、最も体に負担が少ないシェイプアップ法だが、体力に自信があり、もっと早く効果を得たい人には少し特殊な入浴法もある。「高温反復浴」
と呼ばれる方法だ。
休日は反復浴も
温度は42度と、通常より熱くして3分入浴してすぐあがる。その後、3−5分ほど洗い場などで体を冷まし、再び浴槽に。
これを3回繰り返すのが反復浴だ。半身浴より代謝はさらに活発になり、シェイプアップ効果が高まる。
ただやせやすいのは、それだけ体に負担がかかるということ。高齢者や体が弱い人には向かない。体力に自信がある人でも仕事などで疲れたときに反復浴をすると、体がだるくなることがある。実際には週1、2回が限度だろう。
肉体、精神両面で余裕がある休日に試すのが無難だ。東京ガス都市生活研究所の早川美穂・
主幹研究員は「忙しい平日は半身浴、時間がある週末は反復浴と使い分けるとよい」と話す。
入浴のタイミングにも気を配りたい。帝国ホテルタワー・内幸町診療所所長で医学博士の植田理彦氏は、「食前に入浴すると、胃液分泌が抑えられて自然に食事量を減らせる」と話す。食前入浴にはダイエット効果があるわけだ。
ただ、空腹で入浴すると貧血になる恐れがある。「入浴前は必ずコップ1、2杯の水を飲む。おなかがすいたら果物や牛乳をとってもよい」(植田氏)
日々の入浴も正しい方法でやれば、軽い運動に匹敵するシェイプアップになる。だが、効果の高さは注意点と隣合わせ。「たかがお風呂」と油断せず、自分の体力に合う入浴法を選びたい。
特に湯の温度を高くし過ぎたり、過度に長くするのは禁物。入浴前後の水分補給や浴室温度の保温なども軽視すると、思わぬ事態につながりかねない。図に安全な入浴のための基本ルールを示したので参考にしてほしい。
水分補給 |
入浴前に必ずコップ1−2杯の水を。長時間の入浴では重要
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浴室の保温 |
浴室が寒く、湯との温度差が大きいと体に大きな負担。専用暖房機を使うか、入浴前に浴室の床や壁に熱いシャワーをかけたり、浴槽のフタをしばらく開けて湯気で暖める |
かけ湯・シャワー |
入浴前に必ず湯の温度に体をならす。心臓に遠い部分から順番に |
居眠り防止 |
長時間、適温で入浴すると起こりやすい。上がる時間に脱衣所に時計のアラームなどをセットしておくと安心 |
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