除菌スプレーが効果的

食中毒細菌は「水分」「適度な温度」「栄養分」が大好物。調理する際はこの3つを絶つことを常に心がけよう。包丁やまな板、ふきん、流し台の三角コーナーなどには多くの細菌が存在する。これらは調理後すぐに洗って乾かすことが重要だ。食器も完全に乾かしてから使う。特にふきんは毎日漂白剤などで除菌することが望ましい。

ライオンハウスホールド事業本部ハウスホールド第2研究所の岡野知道主任研究員は「包丁やまな板は水洗いした後、除菌スプレーをかけるとほとんど菌を除去できる」と除菌スプレーの利用を勧める。ふきんに細菌が残っている場合もあるため、テーブルをふいた後に、テーブルの上に除菌スプレーをかけるのも効果的という。

調理前や調理後はせっけんで手を洗う。手洗いのコツはできるだけ泡立てること。指輪や時計などは外し、まず流水で両手をぬらす。せっけんをつけたら両手で十分に泡立て、指の間や指先とつめの間まで丁寧に洗おう。調理も食材に触るごとに手洗いする習慣をつけたい。

調理を途中で中断する場合は冷蔵庫に入れて保存すること。常温で放置すると、細菌はかなりの勢いで繁殖してしまう。
細菌は熱に弱い。75度の温度で1分間加熱すればたいていの菌は死ぬ。肉の加熱では内部まで熱が通っているかどうかを十分に確認しよう。電子レンジを使う際は専用容器やふたを用いて加熱ムラを防ぐ。あらかじめ容器を温めておき、食材をかき混ぜてから調理するとよい。卵で賞味期限を過ぎてしまったものや弁当に利用する場合は全体が固まるまで加熱する。

生肉を調理したステンレス包丁の細菌数

包丁の状態

細菌数
調理直後
1,100個
調理後、水拭き
560個
調理後、スポンジ洗い
28個
調理後、除菌スプレーを噴霧
検出せず

(注)包丁の刃の片面あたりの個数、ライオン調べ
2004.5.22 日本経済新聞


食器や手にも注意を

食中毒を防ぐための食事の仕方は「温かいものは温かいうちに、冷たいものは冷たいうちに食べる」が原則だ。また、細菌は手や食器など様々な所に潜んでいることも忘れてはならない。十分加熱して調理した食品でも、手で触ったときに細菌が付着することがある。調理時同様、食事前の手洗いによる除菌が重要なのは言うまでもない。

食器は、シンプルで洗いやすく、汚れが目立ちやすい薄い色で、熱湯で消毒できる耐熱性があるものを選ぶ。食品を残す場合は常温で放置せずに、冷蔵・冷凍して保存する。

食材別のポイントは以下の通り。魚介類を生食する場合は、早めに食べる。生食用のカキは購入日に食べきれない場合は必ず加熱。生肉もすぐ食べないのであれば冷蔵保存する。焼き肉を食べる際は、生肉専用のはしやトングを準備する。残り物のレアステーキは十分に加熱し直して食べる。卵は調理後時間がたったら思い切って捨てる。すき焼きでは品質保持期限内のヒビが入っていない卵を使う。

外食時は店の外回りや裏口の衛生状態をチェックする。店員の服装や店内の衛生状態ものぞいてみよう。食べ放題のバイキングでは陳列した料理の温度管理が重要。東京都健康局によると、イベントや催事などで配るカレーやおにぎり、餅(もち)が原因の食中毒も多く発生しているので要注意だ。

5月に入り、長崎県佐世保市や山形県上山市など全国で食中毒が原因と見られる集団被害が相次いでいる。身近な食を「敵」にしないためにも、衛生管理には十分気をつけよう。

外食店選びのポイント

・店の外側や裏口から悪臭がしないか
・食材を段ボール箱に放置していないか
・店員の服装や手は清潔か
・床やテーブルの上は清潔か
・食器を運ぶとき店員の指が料理に触れていないか
※東京都健康局「食品衛生ハンドブック」より
2004.5.29 日本経済新聞