「網膜はく離」と聞くと目に強い衝撃を受けるボクサーなどに特有の病気と思うかもしれないが、実は加齢とともに誰もが患う可能性がある。手術で治ることも多いものの、なお失明の危険があり要注意だ。

眼球の中心には硝子(しょうし)体という透明なゼリー状の玉があり、外界を映す網膜を眼球の内壁にしっかりと押しつけている。年をとるとともに硝子体が液化し、圧力が弱まることが網膜のはがれる一因になる。

青空などを見上げた時に糸くずや虫のようなものがよぎる「飛蚊(ひぶん)症」や、暗い所で突然ピカピカ光るものが見える「光視症」が典型的な兆候。悪化するとカーテンがかかったように視野が欠ける。いずれも痛みはないという。

硝子体の液化は50代ごろから起きるが、強い近視や遺伝的な素因があると20代からでも起こる。飛蚊症などが必ず網膜はく離につながるわけではないが、「検査も痛くないので、気になったら怖がらずに専門医を受診して病気の芽を早めに摘んでほしい」と日本眼科学会は呼びかけている。
こんな症状に要注意

こんな症状に要注意

▼片目をつぶって青空など明るい場所を見ると、視界を糸くずや虫のような黒い点がよぎる(飛蚊症。問題ないことが多いが、急に増えだすと危険)
▼暗い所をじっと眺めていると、突然ピカピカ光るものが見える
▼カーテンがかかったように視野が欠ける
▼物がゆがんで見える

注)視野が欠けたりゆがんで見えたりする場合は手術を検討
2004.11.14 日本経済新聞